逆転裁判4~6における真犯人勢とラスボスについて
さて、大変お待たせいたしました。以前逆転裁判1~3及び検事シリーズの真犯人の特徴及び私の好きな真犯人を述べた記事を投稿しました。
逆転裁判1~3における真犯人について&お気に入り真犯人キャラ – ルルアリーのお気楽ブログ
逆転検事1,2における真犯人についてとラスボスについて – ルルアリーのお気楽ブログ
逆転裁判4~6もようやく色々知り尽くしましたので、真犯人の傾向や描写を解説していきたいと思います。
主にラスボスに焦点を当てつつ、個人的にピックアップしたい真犯人がいる作品については追加で解説します。
目次
逆転裁判4
まず誤解しないように述べておきますが、何かと評判悪い逆裁4ですが私は普通に楽しめました。
1話毎のエピソードの面白さは個人的に2と並んでシリーズ上位に来るんじゃないかなってレベル。最終話も満を持した7年前法廷の描写からのメイスンシステムによる伏線回収の流れが熱くて良かったです。
ただ真犯人という観点で見ると歴代の中でもかなり印象薄かったなあと思います。検事1の解説でも真犯人が弱いということを述べましたが、ラスボス戦に関してはまさに総力戦って感じで好きでした。
4の最終話もメイスンシステムまではかなり面白いのに、ラスボスを引きずり出してからがあっさり過ぎてね…ラスボス自体にも色々と不満というか、勿体ないなという感情を強く抱きました。
なぜ真犯人が地味だと感じたか?
本作は真犯人が美波、大庵、霧人の3人とやや少ないので真犯人の傾向を書いていけ、と言われても少し難しいところはありますが。
3人とも基本的に同情の余地のない、オーソドックスな悪キャラなので犯行を暴いていく面白さはあります。
ただ本作、被告人と被害者が色々アレなキャラが多いので相対的に真犯人キャラの悪行が目立たなくなっているというのは理由として割と大きいと思います。
3も割と非のある被告人・被害者キャラが多かったですが、本作ではそれが更にエスカレートしています。
個人的には滝太とマキが嫌ですね。滝太は無罪にしてからも王泥喜に全然感謝しないからリアルに「はあ?」ってなりました。マキは嘘ばかりだし密輸の理由も不明だし、それをあの儚げな少年という雰囲気でごまかそうとしているのに嫌悪感を強く抱きました。
まあそういうわけなので美波も大庵も、ちゃんと悪役として振る舞って裁きもしっかり受けているから真犯人なのにそこまでむかつかなかったんですよね。
あと印象が薄い理由としては犯行動機が弱いというところかな。金目当て、密輸、嫉妬といったようにオーソドックス故に捻りの利いた悪役がいないです。検事1も犯行動機が弱いのが真犯人の印象の薄さに繋がっており、動機の大切さがよく分かります。
あと地味に感じる理由はこれといった豹変犯人がいないから、というのもあるのかな。ただ私は豹変の有無は元々そんなに重要視していないので特に減点要素ではないです。
ここまで色々難点を挙げてしまいましたが、美波のリアルな悪女キャラぶりは中々良かったです。歴代女性真犯人勢の中ではやや大人しめなキャラでありながら、着実に周囲を見下している感じがちなみとはまた異なる味を出していました。
大庵も意外と人気ありますよね。多分検事2の内藤あたりが好きなプレイヤーが好きになりそうなタイプのキャラ。真犯人にしないで刑事ポジのキャラとして使って欲しかったという声もちらほら。
大庵、確かにビジュアル含め悪くないけれど響也の相棒的立ち位置だしもう少しそこの掘り下げは欲しかったかなあ。霧人にも似たようなことが言えますが。こういう描写の甘さも真犯人の薄さに繋がっていますね。
法廷に立つと強い真犯人
4が叩かれがちな理由の1つとして、トリックの穴がよく挙げられます。これは特に3話で顕著。
あまりこの点を深掘りすると色々と荒れるので割愛するとして、プレイヤーがトリックに穴があるように感じるということは真犯人もそれほど賢い犯行ではないということです。
ただ4は他作品と異なる点として、ライバル検事が協力的という事実は無視できません。
実質王泥喜と響也の2人で真犯人を追い詰めているような物ですから、それを踏まえると他作品の真犯人よりも法廷での舌戦は強いと言えるのではないでしょうか。
総じて4の真犯人は「犯行方法は微妙だけど、法廷での立ち振る舞いは中々強い」が特徴だと思います。2話の真犯人って歴代だと割とライバル検事頼みなキャラも多いし。
こうして考えてみると1番弱い真犯人って霧人じゃね?って思ったりしますが。何でバリバリの法曹関係者である霧人が1番弱いのって突っ込まざるを得ませんがw
青い炎にボーンチャイナ。この失言がなければ証人としてノーマークだったというのに、バカだねえ…
あと4の最終話って、ぶっちゃけプレイヤー目線ラスボス霧人ってかなり早い段階でバレバレだから(遅くてもまことが響也をじーっと見つめている辺りで大体察する)、霧人を証言台に呼んでから出来レース感否めない。
霧人が弱いってよりは最終話のストーリー構成が良くない様な気がします。結局霧人が負けたのも裁判員制度のせいだし、霧人の法廷での手強さはぶっちゃけ未知数。
牙琉霧人という第二の美柳ちなみになれなかった男
本作のラスボスは牙琉霧人なのですがこの人がどのような立ち位置のキャラなのかを箇条書きでまとめると、
・最初は主人公・王泥喜の師匠として登場。俗に言う千尋さんポジ
・その正体は1話の真犯人。師匠ポジが真犯人という斬新な幕開け
・2話以降ライバル検事として登場する牙琉響也は彼の弟
・ストーリーが進むにつれて、1話から話題になった成歩堂の弁護士バッジ剥奪の張本人であることが判明
・本作のラスボス
こうやってまとめてみると、凄まじくないですか?大抵のメインキャラと関係・因縁がある上に”あの”成歩堂の弁護士人生をストップさせた男です。
彼は1話で真犯人として登場し、最終話でも倒すべき真犯人として立ち塞がるという点で3のちなみを思い出すプレイヤーも多いです。
しかし…彼ってラスボス(笑)と言われていたり、ネタキャラ扱いされていたりと散々です。なぜちなみとこうも差が付いたのか…
多分、やっている悪事とストーリー上の立ち位置の重要さに対して動機と本人自身が小物っぽいからじゃないですかね。
私の霧人に対する不満は最初に述べた「ラスボスを引きずり出してからがあっさり過ぎる」という点が1番大きいですね。まさか証言1回で終わると思わなかったからびっくりしたよ。
今まで「検事=悪」というイメージが強かった逆裁シリーズにおいて、悪徳弁護士キャラというのは目新しくて良かったんですけどね。逆に検事なのに過去一真っ当な響也も目新しい。
切手やマニキュアを用いた殺人計画はシリーズでも稀の遠隔殺人。これも上手く活かせればもっと面白かったかもなあ。
個人的にですが霧人は濃い設定を付けすぎた結果逆に薄っぺらいキャラになってしまった気がします。最終話では成歩堂を嵌めた真犯人という部分ばかりピックアップされて、王泥喜との師弟関係及び響也との兄弟設定が殆ど意味を成していなかったように感じます。
霧人が王泥喜を弟子にしたのは自分の言うことをちゃんと聞いてくれそうな人だと思ったからとか…?ここら辺全然ゲームで語られないので各々のプレイヤーの想像に任されていますね。何だかんだ逮捕されてからも王泥既は霧人のことを尊敬しているのではないか?と私は思っていますが。
上手く調理すればもっと魅力的なラスボスになれそうなだけに実に惜しい。「没になった牙琉兄弟エピソード」の噂もよく聞きますし、ただの完全悪ではなさそうですよね。同じ兄弟であそこまで差が出た理由を知りたい。
5以降、霧人の”き”の字も出なくなるし、響也も5でほぼ脇役&6未登場だしで、山崎ディレクターが携わるようになってからのシリーズは牙琉兄弟の扱いが悪いのが個人的に気に入りません。
山崎さんはあれだけ批判殺到だった4の後を5以降上手く繋げたのだから(6の或真敷一座関連は特に上手かった)、牙琉兄弟関連もおなざりにしないでほしかったなあ。
逆転裁判5
良くも悪くも”逆裁”っぽい真犯人
本作に登場する真犯人は「あー、こういうのが逆裁キャラだよねえ」って感じのキャラが多いですね。
過去作で言うと諸平野とか哀牙辺りがそう。要するに「逆裁らしい変人っぷりと濃さだけど、犯行自体は同情の余地がない純粋悪」というパターン。
本作ではDLCエピの真犯人である育也は唯一、同情できる要素を含むキャラですがそれ以外は全員同情要素が一切ないキャラとなっています。検事1や4同様、オーソドックスなストーリー展開と言えます。私としてはこういう分かりやすい勧善懲悪路線が好きなのでそこは嬉しいところです。
馬等島なんて最後まで悪あがきしていて反省の様子が全く見られませんでしたからね。罪を暴かれてしょんぼりする人よりもこういう奴の方が断然好きです。
また、4と違って被告人や被害者に非があるケースは殆どないので(水族館の船長に関しては人によっては問題があると感じるかも)、その点もモヤモヤを抱えてプレイすることがないので良いですね。
ただその代わりと言うべきか本作は証人・目撃者キャラに全体的に問題児が多くてそこで個人的にイライラしましたが…とりわけ熊兵衛、集芽、かぐやは未だにイマイチ好感を持てないです…
上述した「変人っぷりと濃さ」に関しては全シリーズの中でも5の真犯人が1番生き生きしているのではないかというくらい、5は個性派揃いです。
チュートリアル犯人の馬等島から始まり、見た目も言動も強烈すぎる美葉院、豹変の仕方が過去一激しい育也、そして何より一路先生はそんな奴らをも上回る圧倒的ギャグキャラぶりと人気の高さ。
シリーズ初3Dということもあってか、制作側もキャラの動きは相当作り込んでいます。ブレイクモーションの凝りっぷりも全シリーズでトップクラス且つ面白い。
5は他にも番刑事、零、知潮など濃いキャラが多くて、何て言うか本当に制作側も楽しんで作ったんだろうなって感じが伝わってきて実に良い。ただそのギャグっぽさが裏目に出ている要素もありましてですね…
ただ全体的に真犯人がショボい
本作はギャグキャラぶりに力を入れすぎた結果、悪人キャラが他作品ほど悪人っぽく見えません。
どの作品においても「大物らしい態度を取る強敵キャラ」や「絶対に許さねえって感情になる悪人キャラ」がいるのですが、本作はラスボス含めそのような感情になれる真犯人がいるように見えませんでした。
要するに全体的に小物っぽいんですよね。よく見かける意見として「一路先生は豹変前の方が怖かった」がありますし、ラスボスも無感情云々言う割には間抜けな面ばかり目立っていた印象です。
好きな人には申し訳ないのですが、5は全体的にコミカル成分に対するシリアス成分が不足している気がしてシリーズの中でもあまり好きな方の作品ではありません。明るさの中に潜むシリアスさが徐々に明らかになっていく逆転の帰還は好きなエピソードですけどね。
3も3話まではおふざけ多めで微妙だと思っていましたがメインストーリーがシリアスだったのでそこでバランスは取れていました。
あと何気に5だけに見られる特徴として、女の真犯人がいないということが挙げられます。もしかしたらこれもシリアス成分が欠けている原因かもしれません。女の真犯人キャラって悪女ぶりが際立つ性格悪い(褒めてる)キャラが多いですからね。
そもそも逆裁シリーズ全体で見ても男キャラの方が変な奴多いし…(勿論例外も色々いる。オバチャンとかナツミとかオバチャンとかオバチャンとか…あとヒロインだけど真宵とか)
あと根本的に本作はシリーズ屈指の低難易度なのでそのせいであまり手強く感じない、というのもショボく見えてしまう一因かなと。
一路先生のキャラについて
既に述べた通り、3話の真犯人である一路先生こと一路真二は哀牙同様主にネタキャラ的方面で絶大な人気を誇っています。
豹変後のスパルタ教師じみた発言の数々と黒板芸には私も大いに笑わせていただきました。逆転学園ははっちゃけエピソードとして抜群の存在感があるのですが、その存在感をトドメとばかりにグッと上げたのは間違いなく彼でしょう。「イイじゃん!無罪で!」
ただし彼、そのネタキャラぶりの影に隠れていますがやっていることは正真正銘の巨悪です。
まず試験の点数を操作しているという時点で教師としてアウトだし、犯行動機もその口封じのためという同情のカケラもない理由。
更に「手段を選ばず結果のみを求める法曹」を教育方針に掲げているのであの狩魔と同じようなことをしています。その教育方針を広めたことによる弊害も大きいでしょうし、相当な巨悪と言えます。
本作のテーマが「法の暗黒時代」であることを踏まえるとその特徴にぴったり当てはまる彼はもう少しシリアスな真犯人にしても良かったのでは?と考えています。
一路先生の逆裁らしいキャラを捨てるのは惜しいですが、学園はそれこそサーカスや帰還のように「はっちゃけエピソードに見せてどんどん重くなっていく話」になれる可能性を充分に秘めたエピソードだと思うのであっさり終わって何だか勿体ないと感じてしまいました。
あるいは「豹変前の方が怖かった」という意見から踏まえるに、豹変前の方をあのスパルタ教師&黒板芸キャラにした方がストーリーの緊迫感はあったかも。
何故そう思うかって一路先生、明言こそされていませんが面白そうな設定を持っているキャラなんですよね。度々に話題になる、教え子霧人説及び万才から賄賂を受け取っている説ですね。
もしこの説が本当であれば響也や弓彦にとって充分因縁のある敵になります。4や検事2のストーリーを深掘りする上でかなり面白くなりそうなので一路先生は是非再登場してほしいと思っています。ネタバレ不可避にはなりますが、キミ子だって3で出たしまあ良いかなと。
あと零と弓彦は是非対面してほしい。ある種似た者同士として。でも検事シリーズのキャラって本編に出なさそうだしなあ…
ラスボス「亡霊」について思うこと色々
本作のラスボスは亡霊と呼ばれている国際的スパイなのですが…ちょっとコイツに関しては色々と言いたいことがあるのでかなり長文になります。愚痴の多い、まとまりのない文章になるかもしれません。
スパイとしての様々な活動もさることながら、王泥喜の親友と心音の母親を殺害したということでラスボスとしての犯罪スケール及び主人公勢との因縁面ではラスボスに相応しい存在です。
動機自体は小さいのに行う犯罪の規模がデカいというのが、よりクレイジーさを出していますね。5からの新システム・ココロスコープもラスボスらしい複雑さを見せつけてくるので印象深いです。
ただ…私は正直亡霊がかなり嫌いです。嫌いというのはむかつくとかじゃなくて、悪役キャラとしての魅力が分からないという意味で嫌いです。ネット等を見ていても亡霊は結構不満を持っている人が多いですね。
確かに私は先ほど逆裁5があまり好きじゃないと述べましたが、それでも最終話及びラスボス云々がもう少し好きになれればそれなりに評価は上がったと思います。
まず亡霊を語る上で欠かせないのは亡霊の正体が番轟三だったという事実です。これは本当にビックリしました。検事2のラスボスと並んでラスボス判明時に鳥肌が立つキャラです。
検事2を筆頭に意外性あるラスボスを今まで色々と出してきてしまったのでそろそろ刑事キャラが真犯人でもおかしくないという予想をしていた人もちらほらいましたが…イトノコや茜じゃなくて新キャラをわざわざ出した訳なので。
とはいえあくまで脇役キャラだった検事2の彼と違って番はイトノコポジなので作中での出番も非常に多く、それも相まってしばらくの間信じられないという気持ちで一杯になります。5は他が分かりやすい真犯人が多いので尚更(というか2話までは古畑式だし)。
ただ亡霊は検事1の”彼女”とほぼ同じ不満を抱えています。どちらも正体が分かるまでがピークでそれ以降はイマイチ印象に残らないっていう。
検事1で例えると、それこそ”彼女”を追い詰めたところで終わってラスボスが不明のまま終わったかのような半端な幕切れでした。
あと亡霊が不評な理由としてよく挙げられるのは小物感の強さです。確かに私も無感情キャラの癖に慌てたりパニクったりする場面多いなあと思いました。大物感出せとは言いませんが、もっとゲスキャラにしないと悪役っぽさがない。
とにかく亡霊はとにかく周辺の設定が総じて消化不良。結局彼をスパイとして送ったのは何者なのか? 自由に顔を変えられる設定もぶっちゃけ「成歩堂vs成歩堂」と、あの顔コロコロ変わるブレイクモーションをやりたかっただけでは?と思ってしまいます。
あくまで私の考えですが、もしかして最初は「番刑事が亡霊だった」という設定はなかったのでは?と睨んでいます。
3や検事2のラスボスはそれまでのエピソードで正体が分かるための伏線が色々と張られているので意外性を感じつつも強い納得感があるのですが、番刑事は最終話以外でそれらしい手掛かりが全然ないのでビックリしただけで終わるっていう。プレイヤー側としては驚くだけで嬉しくないサプライズでした。
(検事1の彼女もあまり伏線はなかったけれど、まああの人は最終話に入るまで大して出番なかったのでそこまでショックでもなかったです)
あのジャスティス溢れる愛すべき馬鹿と、無感情で冷酷な亡霊がどうにも結びつかないんですよね…制作途中まで番刑事と亡霊は別々で、「そうだ、プレイヤーをビックリさせるために番刑事を亡霊にしてやろう!」って思ってああなったのでは?というのが私の考えです。
とはいえそういう私みたいな人がいるからなのか一つ救いがありましてね。それは本物の番刑事は既に死亡しているという点です。この設定がとりわけ亡霊関連の中でも賛否が分かれる要素なのですが、私としてはこれで良かったかもと思うことがあります。
あの明るいキャラクターは亡霊が自分で作り上げたのではなくて、ああいう刑事が(もうこの世にいないとはいえ)存在したという事実が安心しました。それもあって2話や3話、DLCエピで会う番刑事のことは亡霊と一切関係ない、生前の番刑事だと思って楽しむことにしています。
まあそうだとしても番刑事は逆裁らしい魅力的なキャラクターだったのでもう色んな意味で今後の再登場が絶望的なのは残念ですね…本作限りで終わるキャラの予定だったのであれば3や検事2のラスボスみたいに設定や境遇を作中で徹底的に描ききって魅力的な悪役にしてほしかったです。
そのせいで最終話が終わったときのカタルシスはシリーズで1番なかったです。ラスボス(笑)とか言って馬鹿にされている4の方がまだカタルシスがあった気がします。
逆転裁判6
逆裁3を思い出す真犯人の濃さ
個人的に王泥喜セレクションの中だと逆裁6が1番好きです。難点も色々あるので大好き!とまでは言えないのですが、それでも三部作最後に相応しいかなり魅力的な作品に仕上がっていると思います。
その理由として真犯人が逆裁3の如く強烈なキャラが多いという点がかなり大きいです。やはりミステリーにおける真犯人の魅力は作品のクオリティーに繋がるなと実感しました。
5同様、3Dを活かした動きや演出でプレイヤーを笑わせてくれます。ブレイクモーションも凝っていますし。ポットディーノと清木のブレイクモーションは完全にプレイヤーを笑わせに来ていますw
特にポットディーノは濃いキャラ揃いの歴代1話真犯人の中でも随一の濃さ。最初出てきたときは「ま~た面倒臭いキャラ出てきたな」程度のノリで見ていたのに豹変後のヘビメタ化によってもう笑いが止まらなくなりましたもん。モーションも何気に多いしw
本作は4と打って変わって豹変犯人が多いのも特徴です。上述のポットディーノも「そう来るか!」って感じの豹変だし、プー子のような逆裁らしい豹変もあれば、メンヨーも今までにない意外性ある豹変の仕方。バリエーション豊かで見ていて飽きませんね。
ここまで面白さ・ギャグ要素といった面ばかり見てきましたが、6は逆裁らしいギャグ系真犯人だけでなく倒しがいがある極悪人、逆に同情心を誘うような真犯人など真犯人像も実にバリエーション豊かでそこが素晴らしいです。
とりわけマルメルはシリーズの中でも同情できる真犯人として名前が挙がりやすいです。ただ私としてはあまり同情できませんでしたけどね…あ、霊媒シーンは面白かったですw
自作自演だったというのは確かに今までにない結末で斬新でしたが私が真宵好きということもあってか、これだけ苦労したのに結局お前かよ!って感情になってしまったんですよね。レイファが正直あまり好きなタイプの女キャラではないのでパートナーだったのもストレスでした。
何より革命派を名乗る人が御霊の託宣を悪用するのは、個人的に革命派認定したくないです。偶然ならまだしも明らかに真宵に罪を着せる前提の計画だし。
この事件がきっかけでレイファをはじめ、クラインの風潮に疑問を抱く人が増えるということで非常に大切なエピソードなのは間違いないです。でも1回有罪になったり傍聴人がうるさかったりでこの話は本当にストレス溜まるので、それこそ「さらば、逆転」並のカタルシスも欲しかったです。
同情という点で言えばまだ十文字の方ができたかな。犯行自体は八つ当たりにも程があるのでそこは全く同情できないですが、懐中時計を定期的に見るモーションとかブレイクモーションとか思わず胸がぎゅって来る演出が多かったです。
本作はオマージュが多い作品ということもあって、真犯人もシリーズをプレイしている人だとどこか見覚えある感じのキャラが多いですね。でも二番煎じ感はなくて、むしろ安心感がありました。
特にプー子や清木はそれこそ成歩堂セレクション時代を思い出すようなキャラでした。プー子は梅世っぽさ全開のキャラでありながら豹変後のオラオラ関西弁で新鮮味を感じました。
清木は諸平野や美葉院のような「超むかつくけどクズで倒しがいある、そして小物っぽくて面白い」というキャラ性を、議員候補者というこれまたヘイトが溜まりやすい職業にすることで上手く表現できていました。
前作とは打って変わって強敵揃い
本作ですが、シリーズ全体を通して見ても強敵が多い方ですね。これも悪役の魅力の引き立てに一躍買っているでしょう。
根本的に本作は御霊の託宣がある都合上、一筋縄ではいかない犯行が多い傾向にあります。ポットディーノも1話真犯人勢の中では検事2と並んで最強格。
メンヨーはアリバイ作成&遠隔殺人による計画性の高さは2話の真犯人とは思えないレベルの高さ、マルメルは1日目終了時点で成歩堂を絶望的状況まで追い込んだ強敵、十文字は計画通り行かなくても対応できる柔軟さが凄い。
ラスボスも久々の権力者ということで、倒しがいある相手になっています。4も5もあまり強敵っぽくなかったのでこれは高く評価したいです。
プー子や清木はそんなにですが…特にプー子は法廷パートしかない状態であれだから探偵パートがもしあったらもっとバレバレだったんじゃないでしょうか。
まあこの2人はいずれもクラインでのメインストーリー前の話なので箸休めもあるでしょうけどね。6はこういうメイン絡みのエピソードと単発エピソードのバランスの塩梅が上手いです。それもあって飽きずにプレイできました。
「かっこよさ」「手強さ」「クズさ」を兼ね備えた最高の悪役
逆裁シリーズにおける好きな真犯人の1人が逆転マジックショーの真犯人、ヤマシノPこと志乃山金成です。彼は文句なしの名悪役と言って良いでしょう。実際人気も高いです。
最初は典型的なウザいマスゴミキャラとして登場し、皆さん「何だよコイツ!」ってなること請け負い。そして法廷に入る前の事務所差し押さえの下りで「絶対ぶちのめしてやる!!」ってなります。
私はこういう気持ちになった際、検事2の3話や4話を思い出しました。あいつらも悪役としてこの上ない立ち回りでしたからね。被告人がみぬきということもあって2話とは思えない展開・熱さでした。
そして或真敷一座という問題児だらけのグループに、彼の存在が光ります。彼の正体は13年前に一座を追放されたMr.メンヨー。
「或真敷はクズばかり」と言っているメンヨーこそが1番のクズっていう痛烈なブーメランが爽快でした。また、或真敷を変に美化せずしないで上手いことエピソードを作ったなと思いました。
「或真敷はこのMr.メンヨーに敗れたのだ!」という発言も王泥喜があの人の息子であることを思うとざまあwってなりますね。4をプレイした人は最悪この話だけでも良いのでプレイしてほしい。
動機も完全に八つ当たりで、被害者の伏木直人に関しては本当にただ利用されただけ。この同情の余地が一切ない動機も悪役として素晴らしい。
上述したとおり、アリバイ作成&遠隔殺人という計画性の高さで強敵です。ミミがミスをしていなかったらどうなっていたことやら。3の哀牙も2話とは思えない頭脳犯ですし、意外と2話って強敵来やすいですよね。
何と言ってもメンヨーが人気な理由は豹変の仕方です。ガラッと豹変した訳でもないのにプロデューサーっぽさ全開の風貌からマジシャンっぽい風貌に変わる様が見事。ヤマシノPのときはあんなに小物っぽくてむかつく野郎だったのに。
逆裁シリーズは口が悪くなる豹変が多いですがメンヨーは大物っぽくなる感じが実に目新しく、「豹変した途端かっこよく見えてしまった」という意見多数。
マスゴミキャラとしてもマジシャンとしてもしっかりとキャラが立っていて、そこがより一層キャラの深さに繋がっています。
この豹変から尋問BGMがアレグロになるのもたまらないですね。尋問曲のモデラートからアレグロの切り替えタイミングはここが歴代トップクラスだと思っています。証言時にコイントスしたり炎を操る余裕っぷりがむかつくけどかっこいいんだわ!
マジで良い悪役。6は間違いなく王泥喜の成長エピソードなのですが、最終話だけでなくこのエピソードの存在も王泥喜フィーチャー作品として非常に大きいですね。
ラスボスらしさは歴代トップクラス!?
本作のラスボスはクライン王国の女王・ガランです。今までいそうでいなかった初の女性ラスボスです。ガランは今までのラスボスのラスボスっぽい要素を色々と寄せ集めた感じのキャラになっています。
寄せ集めと言うとちょっと響きが悪いかもしれませんが、ガランはラスボスとして素晴らしいキャラ付けをしているので問題ありません。4も5もラスボスが微妙だったので6である意味原点回帰した感じが好印象でした。特に検事として戦うという点はそれこそ初代を思い出しますね。
霊媒絡みだしキミ子を意識して作られたキャラなんだろうなと思っているのですが、キミ子をラスボスポジにしたらまさにこういうキャラになるんだろうなという感じのラスボスになっています。
実際のところ犯罪スケール、クズさ、権力の強さなど、シリーズ屈指の巨悪と言われている検事2-4話の真犯人と比較しても全く見劣りしない真犯人です。
弁護罪を制定したのも彼女なのでクライン全体における被害も相当大きいですし、女王の座を狙うための犯行というザ・悪役思考、そして王泥喜の父親を殺害したことによる諸悪の根源ということでラスボスの鑑とも言える行動。
アマラをはじめ、レイファやナユタといった身内を利用する辺りも、外道系真犯人によく見られる特徴です。レイファに対する発言はまさに毒親って感じでしたね。これによってただ犯罪スケールが大きいだけでない、性格面でも理想的な悪役像となっています。
欲を言えばドゥルクを殺害するのもインガとかいう小物じゃなくてガランだと更にラスボスとしての格が高まったかなあとは思います。ドゥルクの死判明は最終話における1番の衝撃と言っても過言ではないので…
ドゥルクの死を笑って馬鹿にした時はお前犯人じゃないとしても許さねえからなとなりましたね。
…何かこういう真犯人が出てくる度に家族愛ある狩魔豪が相対的にどんどん良い奴に見えてきますねw
法律を書き換えるというトンデモ権力の持ち主なので計画性の高いメンヨーとかと比べると頭脳犯っぽく見えないですが、検事なだけあって法廷慣れしているし御霊の託宣や霊媒をフル活用する辺りは弁護罪を制定した張本人なだけあるなと思いました。充分に強敵でしょう。
あとブレイクモーションが大好きなんですよね。狩魔とか巌徒みたいな潔さがあるタイプも嫌いではないですが、私は悪者らしく悪あがきしてほしい派なので必死に霊媒する様が本当に滑稽で面白かったです。ざまあwってなりました。
検事席に立ってからの悪役全開衣装といい、カンガエルートの「かっこわるい」といい、ドクズキャラなのにちょいちょい面白要素がありますよね(笑)。でもこの面白要素もしつこくない程度に入れていて悪役としての格を落としていないのが上手いキャラ造形だと思いました。
王泥喜三部作ラストを飾るのに相応しい、あらゆる意味でラスボスらしいラスボスでした。それもあってやっぱり逆裁6は結構好きですね。
まとめ
逆転裁判4~6の真犯人の特徴と、一部真犯人及びラスボスについて解説しました。
4~6は1~3に比べプレイしている人が少なく、人気もあまりないですが逆転裁判シリーズにはまった人はプレイして損のない内容になっています!4や5は批判されがちな作品ですが面白い展開や魅力的なキャラクターも沢山いて普通に楽しいです。
特に6は世間的に最高傑作と言われている3や検事2、大逆裁2と比べても決して見劣りしない、盛り上がるストーリー展開だったと思います。4、5と通しでプレイするとなおのこと6での王泥喜の成長ぶりに浸れます。
(別に4や5の王泥喜がポンコツだったと言っている訳じゃないですよ。むしろ割と千尋さん頼りな面も多かった成歩堂よりも王泥喜の方が有能では?と私的には思っています)
王泥喜セレクションが出てくれたおかげで実況動画・配信も以前より増えてきてとても嬉しいです。少しでも気になるのであれば是非買ってみてください。