逆転裁判1~3における真犯人について&お気に入り真犯人キャラ

逆転裁判1~3における真犯人について&お気に入り真犯人キャラ

「異議あり!」でお馴染み、カプコンの隠れた名作である逆転裁判シリーズ。

逆転裁判シリーズの魅力はストーリー、キャラクター、謎解き、BGMなど色々あると思いますが、個人的には真犯人がどのようなキャラなのかも非常に大きなウェイトを占めていると思います。どのようなゲーム・アニメなどにおいても作品を語る上で悪役・ヴィランズ抜きでは語れません。

逆転裁判シリーズはただの一般人、シリーズ全体に影響を及ぼす大悪党、いかにもな悪人キャラ、同情出来る要素を含む哀しい犯罪者など一口に真犯人と言っても多種多様なタイプのキャラクターがいるのがとても面白いなあと感じています。

この記事では最も逆転裁判シリーズの中で知名度も人気も高い1,2,3における、真犯人の傾向や描写を個人的な意見込みで解説します。そしてその中でも個人的にお気に入りの真犯人を何人かピックアップして魅力を語っていきます。

完全なる趣味記事&個人の意見を多く含む記事ですが、逆転裁判シリーズが好きな人は暇つぶしにでも見ていただけたらと思います。

※言うまでもなくネタバレのオンパレードなので未プレイ者は要注意。

逆転裁判蘇る逆転

「倒しがいのある強大な敵」を徹底的に描いた初代

逆転裁判蘇る逆転(以下逆裁1と表記)の真犯人は一言で言うならば大物揃いです。

司法機関を自由に操れる社長、暴力団絡みのプロデューサー、40年間無敗の検事、地方警察局長。とにかく肩書きが強い人が多い。

そして肩書きだけでなく、それ以外の点にも大物要素が溢れています。

一つ目は真犯人の年齢。あまり言われていないことですが、逆裁1は若い真犯人が1人もいません。1番若いキャラが34歳の姫神です。実は20代の真犯人が一人も居ない作品は1が唯一です。そして狩魔と巌徒はどちらも65歳と還暦超え。

この高い平均年齢が何を示すかというと、やはり大物感だと思います。20代のキャラだとどんなに極悪でも、どうしても威厳は出せません。1作目ということで倒しがいのある分かりやすい悪役キャラを作った結果、こうなったのでしょうね。

二つ目はブレイクモーションの大人しさです。ハードの容量的な問題もあるとは思いますが、1のキャラは全体的にブレイクモーションの発狂が控えめです。姫神や灰根に至っては発狂の「は」の字も見当たりません。

狩魔と巌徒は当時にしてはだいぶトチ狂ったブレイクモーションです(尤も巌徒はリメイクで追加されたキャラですが)。とはいえブレイク後に罪を潔く認めるあたりには大人しさが垣間見えます。彼らのこの潔さはかっこいいと逆裁ファンの中では結構人気があります。

この最後までクールな態度を取るキャラの多さというのも、大物感の向上に一躍買っていることは間違いないでしょう。

一作目なので難易度は低め。でも狩魔と巌徒はやっぱ手強い

本作はシリーズの中でも難易度が低い印象です。最近の作品だと結構1話の時点で込み入った事件を扱うのに対し、本作では2話までチュートリアルみたいなものですからね。

その難易度の低さは、本作の真犯人の弱さにも直結してしまっている感は否めません。2以降の作品をプレイして久々に1の1話を見返すと山野のガバガバ証言っぷりに吹き出しそうになりますw

まあ同じ1話で言うと2のバナナ野郎も大概ですがw

山野はまあいかにも雑魚そうだしチュートリアル的立ち位置なのは目に見えているから良いですが問題は小中。コイツもまあ確かに見た目・発言共に雑魚そうだし、実際証言は弱いです。人によっては検事のサポート抜きだと山野以下という意見も。

ただそんな奴がDL6号事件方面で多大な影響を与えたという事実や主人公の師匠を殺したという憎さ、そして何より検事や裁判長に圧力をかけられるほどの権力者であるというちぐはぐぶりが個人的に妙に気持ち悪く感じます。

そんな小中のことは置いておいて、やはり狩魔と巌徒は強敵です。彼らも悪質さは相当のものですが、それ以上に「強ボス」としての属性が強いです。特に巌徒は殆どの逆裁ユーザーが引っかかる一撃バッドエンドのトラップ持ちです。

この2人はその強敵ぶりに加えて自分なりの強い正義感を持っているためなのか、純粋に嫌われがちな小中と違って人気が高いです。逆裁シリーズを見ていると「どのような悪役は人気が出やすいのか」という面も徐々に分かるようになってくるので面白いです。

逆裁1真犯人ピックアップ

あらゆる点においてラスボスの鑑、狩魔豪

逆裁1の真犯人の中で個人的に1番好きなキャラです。2話と3話で成歩堂のライバルとして登場してきた御剣の師匠というキャラ説明からしてインパクト抜群です。

一目で彼の師匠だと分かるキャラデザも良き。

尋問ではしつこいくらいに「異議あり!」を連発(この異議ありボイスがまた良いんですよね)、オウムを1日で手懐けたり(その光景をちょっと見てみたいw)、一度有罪にしたり(矢張というイレギュラーのせいで崩れたが)と強敵ぶりを遺憾なく発揮するため印象に残ります。

彼、本当に最後の最後の方になるまで動揺を見せないんですよね。常に余裕たっぷりな表情と態度。それだけに最終盤で初めて動揺する姿を見せて、それであのブレイクモーションなのでもの凄くスカッとします。ラスボスの理想像といって良いでしょう。

行動面で見ても教え子の御剣に罪を擦り付けたり、スタンガンで無理矢理資料を奪い去ったりとまさに悪役!という感じがします。検事2の過去編においても被告人に自白させるように脅迫したりしていて、改めて「コイツやべえ奴だな」と思いました。

ただ2以降は娘の冥の存在もあってか、ちょっと悪役としての格が落ちてしまった感が否めません。冥が未だに父親を尊敬しているから何だかんだいい人なのでは?みたいになってしまったというか。

検事2で「嫁の料理は凄く美味しい!(意訳)」みたいなことを言ったりする狩魔豪も嫌いではないですけどねw

ちょいちょいお茶目な部分があるのは御剣も不器用ゆえのお茶目さがあるからでしょうか?

多くの冤罪を生み出したことは間違いないし、逆裁シリーズとは切っても切り離せないDL6号事件の真犯人ということで罪状的にもラスボスとして申し分ないです。

巌徒も悪くない悪役ですが蘇る逆転自体「逆転そしてサヨナラ」の二番煎じ感があるエピソードだし、実際に担当検事として主人公と対決するという構図も含めて私は狩魔の方が好きですね。

逆転裁判2

短編ストーリー集である本作における真犯人の特徴

本作はシリーズの中では珍しくエピソード間におけるストーリーの繋がりや伏線といったものが殆ど存在しない、1話完結型のストーリー構成となっています。

2話は比較的メインストーリー絡みですが、こちらの続きは逆裁3の最終話まで持ち越しになります。キミ子の最後の伏線めいた発言がなければ1エピソードとして完結していますし、やはり本作は1話完結型です。

(エピソードごとの繋がりの傾向は3から顕著です。また、1においても2話で出てきたDL6号事件が4話で再登場したり、成歩堂や御剣らメインキャラの過去が徐々に明らかになったりと全体を通して1つの大きなメインストーリーが存在します)

そのため、本作の真犯人は「複数の事件に関与していて~」とか、「主人公やヒロインと長年の因縁があって~」といった物は存在しません。これは、事件の規模が大きくなりやすい最終話の真犯人においても例外ではありません。

(唯一キミ子は例外な気もしますが、彼女は真犯人というよりは共犯ポジなのでまあその辺りは大目に見てくださればと思います)

ただそれが悪いかというとそうでもなく、むしろ1話きりで出番を終わらせるという心持ちで制作者側が描いているからか、かなり濃い個性を持っていたり深い心情描写がされていたりと心に残る真犯人が揃っている印象を受けます。

心情描写が深い犯人と言えばアクロは言うまでも無いですが、葉中もそれに負けじと印象に残ります。彼女は人によって同情できる・できないの意見がかなり分かれやすいキャラです。裏を返せばそれだけ人間臭いキャラということで、プレイヤー側も思わず考えさせられる良ストーリーの一端を担っているキャラだと思います。

因みに私は最初は葉中に比較的同情していましたが、よくよく見るとあまり同情できないやんってなりました。最後の最後まで自分のことばかり考えていて医療ミスや妹、真宵に対する申し訳なさゼロですから。

でもこの常識離れしたクズではない、半端に人間の心が残ったリアルにいそうな悪人っぽさが好きなんですよね。シリーズの中でも中々好きな真犯人です。

本作のラスボス・王都楼はシナリオの構成上クズである必要があるためタクシュー曰く「深みが出ないように描いた」らしいですが、

・女に容易に手を伸ばして結局ポイ捨て

・同期へのライバル意識

・元カノの自殺を気にしない

・悪い噂は芸能界パワーでもみ消し

など、

なんかリアルの芸能界でもこういう人いそう~

という感じのキャラ描写になっていると思います。ゲームに出てくるキャラクターにも関わらず芸能界特有の生々しさが存分にあってそこが面白く感じました。

こんな感じで逆裁2の真犯人はリアルにいそうな人間性や練り込まれた背景を持つキャラが多くてお気に入りです。例外は諸平野くらいじゃないでしょうか。コイツは山野と並ぶチュートリアル担当、同情の余地皆無ですがあまりに良いキャラしているので癒やしすら感じますw

一般人相当の犯行方法と証言が目立つ逆裁2

本作は大物揃いな逆裁1とはかなり真逆の方向性を行っています。決定的な違いとして本作は権力者が1人もいません。全員権力的には一般人レベルです。キミ子とか凄い大物感ありますけど特に法曹界に関わっている訳ではありませんし。

逆裁2はシリーズの中でもトップクラスに難易度が高い作品となっているので意外に感じるプレイヤーも多いかもしれませんが、権力者皆無ということもあり本作の真犯人は特に強敵がいません。

葉中はハッキリ言って証言のボロが多すぎます。というか妹にずっとなりすましていて誰からも怪しまれなかったような人がなぜ証言時にはここまで失言が多いのかは個人的に結構疑問。肝心なときに隠し事が出来ない辺りにも人間味を感じるかもしれません。

王都楼はラスボスの中ではハッキリ言って最弱レベルです。狩魔や巌徒は言わずもがな、手段を選ばずに犯行を仕掛けたり決定的な証拠の無さで粘ったりする検事シリーズや4以降のラスボスと比べても強敵とは言い難いです。何と言っても虎狼死家に依頼したのに自室で寝ていた結果、霧緒に罪を擦り付けられるのは滑稽です。

諸平野は論外です(笑)。ダイイングメッセージを何故か漢字で書くし、誰にも突っ込まれていないのにバナナが落ちていたとか言っちゃうし、もはや笑わない方が無理なレベルでどうしようもない。まあコイツは典型的なチュートリアル担当なのでこれで良いと思いますが。

2の真犯人の中で唯一明確に強敵と言えそうなキャラはキミ子かなと思います。自分では直接手を下さずに他人に殺させる狡猾さ、イレギュラーな出来事に対する咄嗟の判断力、証言時に一切ボロを出さなかった点などです。

共犯の葉中が失言だらけなので巻き沿いを喰らった感じになりましたが、共犯者がもう少し手強かったら更に強敵になっていたでしょう。

キミ子はブレイクどころかダメージモーションすらない上、3で再登場した際の犯行計画の狂いっぷりやあのちなみにすら「キミ子の心は壊れている」と言われていたりする辺り、逆裁1~3の真犯人の中でも別格のオーラがあります。

本作におけるキミ子以外の真犯人の弱さが何を示しているのかを考えてみましたが、シリーズ化するにあたって手強さや犯行の念入りさがどんどん複雑にならないように敢えて少し手を抜いたのかもしれません。

実際問題、真犯人が手強くなくても検事側の反論や周囲の状況(記憶喪失や人質、決定的証拠の無さによる粘りなど)次第で充分ゲームとして成り立つ逆転劇になりますし、強敵である必要というのもそんなにないんですね。ちょっと意外な感じです。

逆裁2真犯人ピックアップ

逆裁2は個人的に1~3の中で1番好きな作品で、真犯人も好きなキャラが多いので誰をピックアップするか悩みましたが、エピソード人気が高くて話題になることも多い以下の2人に焦点を当てたいと思います。

シリーズ屈指の常識人、アクロ

エピソードの中でも人気の高い「逆転サーカス」における真犯人です。このエピソードの舞台となるタチミサーカスにおけるサーカス団員はトミーを筆頭にマックス、ベン&リロ、ミリカととにかく変人揃いであり、コミカル色全開のストーリーが前半では繰り広げられます。

アクロは2日目からの登場になるのですが、彼は逆裁の登場人物とは思えないレベルで普通の人です。1日目でタチミサーカスのヤバい連中を見てきた後だけに温度差で風邪引きそうになりますw

逆転サーカスは「華やかな舞台の影に隠れている芸能界の闇」が徐々に明らかになっていく構成がお気に入りなのですが、このシリアス要素を引き出す際にアクロの真面目な常識人ぶりが良い方向に働いていたと思います。もしアクロが他のサーカス団員同様ふざけたキャラだったら最後までおふざけ色が強いままだったのではないでしょうか。

彼に関しては色々言いたいことがあるのですが、第一に言いたいこととしては「何でミリカに殺意を抱いてしまったのだろうな…」というやるせなさです。

半年前の事故は100%ミリカが悪いというわけでもないのですが、弟が実質的に植物人間状態に、自分が車椅子生活にされてしまったにも関わらず申し訳なさがなくヘラヘラしていたらミリカにむかつく気持ちも分かります。

ですがそれで殺そうとするのってちょっとやり過ぎですよね。自分の大変さを伝えたり団長と協力して現実を教えたりと方法はいくらでもあったはず。

アクロは良い奴で好かれる性格であることは他のサーカス団員の評判を聞いても明らかなので(「無罪になっても素直に喜べない」というセリフもあるし)残念ですね。

アクロにはもっと平和に解決できる方法を探してほしかった…前科持ちになってしまったよ…

犯行計画については現場を普通にトミーに見られているのでお世辞にも上手いとは言い難いですが、車椅子である以上他に手段を考えるのも大変そうなのでまあ大目に見ても良いかな。

逆裁2の真犯人の中では強敵の部類に入ります。何と言ってもダメージモーションが無く、動揺の様子が全く見られません。矛盾を突っ込まれても冷静に反論し続ける姿はかっこいいです。逆裁らしからぬキャラなだけに真犯人の中でも異例っぽさ漂うキャラです。

犯行動機的にはやや幼稚だし、犯行計画が雑だったために団長を殺してしまっていたりするので同情できない点も結構あります(マックスに罪を擦り付けた点に関しては、彼に疑いが向いたのはマントが銅像に引っかかったことによる偶然なので許せないというほどではないです)。

それでも思わず同情したくなってしまうのは、彼が申し訳なさをずっと感じていて、ブレイクモーションで涙を流すような人だからでしょう。要するに性格です。

このエピソードは切ないけれどただジメッと終わるのではなく、団長とアクロのことを悲しみながらも前向きに頑張ろうと意気込むところが良いです。全エピソードの中でもかなり好きな締めくくり方です。

トノサマンやレシピといった単発はっちゃけエピソード枠の中ではサーカスは頭一つ抜けた良エピソードだと思います。アクロが良いキャラ性をしているし、タチミサーカスの連中が癖強だけど嫌いになれない。

ラスボスの異端児、王都楼真悟

本作のラスボスです。上述した通り、王都楼は正直手強いラスボスとはとても言えないキャラです。そしてそれ以外にもラスボスらしからぬ点が色々あってラスボスとしてはパッとしません。悪行の規模は小さいし、主人公勢との深い因縁もありませんからね。

しかしラスボスとしては雑魚っぽいのにラスボス(笑)と言われることはありません。このちぐはぐさがお気に入りです(…何言ってんだ自分?w)。

前作のラスボス・狩魔とは別ベクトルの真犯人を作ろうとしたんだろうなという努力の結晶が感じられます。被告人が本当に真犯人という型破りの展開や弁護士の意義を改めて考えさせられる内容といい、個人的には「逆転、そしてサヨナラ」よりも好きなエピソードです。

お気に入りシーンはやはりサイコロックが3つ立て続けに解除された後の「初めまして‥‥弁護士クン。王都楼真悟だ。」です。真っ暗な背景にほんの少しの変化だけで一気に凶暴なフェイスになるという見事な豹変ぶり、そしてこのセリフ。

あまり言われないことですが個人的にかの有名な「DL6号事件を忘れるな」と並ぶ、シリーズでもかなり上位に来るゾワッとくるシーンだと思います。ここで初めて流れる「捜査~核心2002」も非常に印象深くて好きなBGMです。

王都楼は「逆裁の真犯人で1番のクズは誰」という話題になるとよく名前が挙がるキャラです。本性を表わしてからの怒濤の極悪発言祭りは凄まじいものがあります。私としても彼は言うまでも無くクズだと思いますが、クズなんて沢山いるのになぜ彼は注目されやすいのかが気になっていました。

それは上述した「リアルの芸能界でもいそうな生々しいクズ」だからではないかと感じました。

狩魔やちなみは犯罪の規模ややっていることが現実離れしていて想像がつきにくい分、悪役としてかっこよさを感じるけれど王都楼はリアリティがあって悪役としてのかっこよさを感じられない…といった感じではないでしょうか。

正しく言語化できているかちょっと不安ですが。

というか彼ってあの成歩堂に「キサマ」と言わせた数少ない(というか唯一?)人物ですよね。この「キサマ」はきっと全プレイヤーの気持ちを代弁してくれたのでないでしょうか。

それだけにあのブレイクモーションは倒してやった感満載でスカッとしますね。シリーズにおけるブレイクモーションは多種多様ですが諸平野といいコイツといい、ああいう勢いとスピード感あるブレイクモーションは1番好きです。

あのひっかき傷はちょっとグロくて苦手だけど…

「さらば、逆転」は他作品の最終話と違ってこの1エピソードで完結するお話にも関わらず、面白さと緊張感、最終話としてのテーマ性は他作品にも引けをとらない良エピソードです。それは王都楼のキャラ性と悪人ぶりによるものはかなり大きいのではないでしょうか。

逆転裁判3

真犯人の”濃さ”はシリーズ随一?

世間一般的にシリーズ最高傑作と名高い逆裁3。それもあってか真犯人も一度プレイしたら忘れられないような強烈な個性派が多数登場します。

特に哀牙は人気ランキングでも上位に来やすい人気者です。芝九蔵も成歩堂の偽物(全然似ていない!)として登場するヤクザという濃いキャラです。

本作はシリーズの中でもコミカル路線強めなので、真犯人も色んな意味ではっちゃけ気味です(笑)。ただ私はシリアス寄りのストーリーの方が好みなので逆裁2の方が好きですが。

個人的に逆裁3は非のある被告人、被害者が多いのがちょっとマイナスですね。確かに1や2にも非のある被告人・被害者はいましたが、3は事件そのものがギャグタッチで好みに合わないのもあって少しもやっとしました。

特に天杉夫婦は賛否が分かれやすいですよね。

ただ本作におけるメインストーリーの方はシリアス成分が相当に強く(特に4話はコミカル要素皆無に近い)、その系統のお話が好きなプレイヤーでも楽しんでプレイできるのは一粒で二度美味しい感じがして良いですね。本作の最終話は最初から最後にまでずっと夢中になれる濃密な内容で大好きです。

メインストーリー方面での真犯人はちなみとゴドー(後は逆裁2でも登場したキミ子)がいますが、このキャラ達も他キャラでは真似できないであろう濃い個性と犯人像を持っているキャラです。

本作の真犯人の中ではゴドーが唯一、同情できる要素を多分に含んだ同情系真犯人となっています。ゴドーは成歩堂に対して八つ当たり気味だったりするせいで賛否が分かれやすいキャラですが、それでも人気は非常に高いです。

悪の根源を倒してスッキリ、という展開が合う逆裁シリーズにおいてゴドーみたいなキャラは本来ならばラスボスとして相応しくありません。しかし実質的な悪役要素をちなみが担ったことによって悪を倒すスッキリ感を得つつ最後のvsゴドーの流れに上手く持って行けたのが良いですね。

ゴドーのキャラ描写や人気の高さを見ていると、逆裁のラスボスって必ずしも極悪人が人気というわけでも無いんだなと実感したものです。

実力派真犯人が勢揃いな逆裁3

本作も逆裁2同様、目立った権力持ち真犯人はいません。しかし本作はそれにも関わらず真犯人は総じて強敵揃いなのが大きな特徴と言って良いでしょう。

哀牙と芝九蔵はギャグタッチなシナリオのせいであまりそんな感じがしませんが犯行計画が練り込まれている上、あと一歩というところまで成歩堂を追い詰めたという相当な強敵です。

この2人だと哀牙の方がより強敵かなと思います。芝九蔵は共犯者の存在に救われた部分もありますし、トドメの刺し方も尋問無しで終わってしまうので。

強敵という点ではゴドーも中々です。アクロ同様、目立った動揺がない上に冷静に反論することで正面から成歩堂と勝負します。他のただただクズな真犯人と異なり、アクロもゴドーも自分の犯した罪に関してある程度覚悟を決めている節がありますので、それが手強さに繋がっているのではないでしょうか。

これらを踏まえると逆裁3の真犯人の中で1番弱いのは意外とちなみだったりします。雑魚敵とまでは言いませんが、失言はかなり多いです。

というか彼女の場合、ばれそうになったら殺すというアグレッシブ過ぎる行動派なのでそれを踏まえると理論的思考が苦手なのは案外納得いくものがあります。5話における霊媒後の暴れっぷりといい、「やられるまえにやれ」神経でラスボスの器になれたという点で恐ろしいです。

このちなみの大胆な行動力も強さの一種と見るのであれば、本作は弱い敵が一人もいません。シリーズも3作品目ということで、どのような犯行や証言にすれば強敵になるかを運営サイドが慣れてきた感が窺えます。

逆裁3真犯人ピックアップ

嘘の上手さは全キャラ随一かもしれない星威岳哀牙

私のシリーズの中でもお気に入りの真犯人の1人はズヴァリ!星威岳哀牙です。

一度プレイしたら忘れられないレベルで台詞回しが特徴的で典型的な色物キャラですが、最後のブレイクモーションでも色物キャラを貫いたためどこか得体の知れない不気味さを感じるキャラです。このちょっとピエロチックなキャラ性が気に入っています。

テーマ曲もオシャレでお気に入りです。逆裁3はテーマ曲持ちが2以前と比べてかなり増えましたよね。キャラの個性付けとして良い効果をもたらしていると思います。

そしておふざけキャラにしか見えないのに上述した通りびっくりするほど強敵なのもこれまた彼の不気味さが強調されています。アリバイ作りのためにあえて窃盗罪で逮捕されたということは、つまり初日の証言や動揺ぶりが全て演技だったということです。

ここまで嘘の上手い真犯人、嘘下手な私からすると尊敬すらしてしまうレベルです。

そして最後の証言では矛盾している証言以外を揺さぶると一撃死ということで本作屈指の難関証言となっています。

揺さぶりペナルティーを仕掛ける証人や検事はシリーズにおいて何人かいますが、揺さぶり一撃死というエグい制限を持っているのはコイツくらいでしょう(ちゃんと調べていないのでもしかしたら他にもいるかもしれません)。

こういう権力などの特殊能力に頼らず自分の実力で真っ当に手強さを見せつけるキャラは個人的にとてもお気に入りな強敵像です。

「盗まれた逆転」は緊迫感が薄いストーリー展開や窃盗の報いを受けていない優作など個人的に微妙な点がいくつかあるのですが、哀牙の色物に振り切ったキャラ造形とそれに反した手強さはこの一見緊迫感が薄いエピソードだからこそ輝いたなと思います。

逆裁シリーズを代表する”悪女”、美柳ちなみ

逆裁3を語る上で彼女の存在を語らないわけにはいかないでしょう。計3話登場する、長年にわたる宿敵ポジションのキャラです。

まず今までの逆裁シリーズにおける1話=チュートリアルという傾向を破ったという点が功績として大きいと思います。

ちなみのやばさが本格的に判明するのは4話からですが、1話の時点でも過去に事件を起こしていることが判明したり、男をたぶらかして法廷を有利に進めたりとやばさが存分に伝わってきます(何せ今までの1話の真犯人がカツラ投げと自称一流ですからねw)。

1話と4話では女性キャラである千尋視点ということもあり成歩堂、裁判長、亜内ら男性陣から怒濤の勢いで擁護されまくるちなみにプレイヤーがイラッとするような構成に上手いこと誘導されています。

というかちなみとそんなに年齢変わらないのに相手にされない千尋さん可哀想w

なので彼女は本当に”悪女”という言葉が似合います。本性を現した後の極悪ぶりもそうですし、男をもてあそんで自分の味方に付けさせる小悪魔的な面もそう。実際、逆裁シリーズには悪女と呼べそうなキャラは色々いますが、ちなみの印象が強すぎるからか逆裁悪女の代表格的キャラとなっています。

テーマ曲もお気に入りです。美しい曲なのですが、彼女の人となりを知った後だと不気味さを感じてしまうのが「こうも曲の印象を変えてしまうのか」と舌を巻きます。人によってはトラウマBGMでしょうね。

そしてそれでいてほんのり切ない。これ一曲で様々な感情が湧き上がってくる逆裁3屈指の名曲です。

上述した通り、彼女は犯行に関しては凄まじいほど行動派です。常に他人を使って犯行を企む母親のキミ子とは正反対と言えます。キミ子タイプの悪役も好きではありますが、やはり自分から積極的に動く悪役の方が好きですね。

自分にとって不利益になりそうな人を躊躇無く口封じで殺していく様はまさにサイコパス。狩魔や巌徒のような法曹界に関する真犯人ではないのでそこまで規模の大きい犯行というわけではないのですが、何故か悪の女王みたいな風格があります。

20歳の女子大学生にも関わらず小物感が全然無いのは純粋に凄いです。王都楼とかラスボスにしては雑魚っぽいですし、20代の真犯人ってどうしても威厳に欠けて小物臭くなりやすいに。

ちなみは上述した行動力と「やられるまえにやれ」神経を死してなお心掛けている点が大物感溢れる理由として大きいでしょうね。

ちなみは育った環境やキミ子からの扱いの悪さなど同情できる要素は割とあります。そのためプレイヤーによっては「育った環境が違えば春美やあやめみたいになっていたかも」という意見も見られます。

ただそんな同情要素があるにも関わらずそれを見事に打ち消す悪人ぶりは個人的に大いに高評価。下手に同情キャラにするのではなく許されざる宿敵として描ききり、5話で成歩堂や千尋が彼女にバッチリトドメをさしたのはシナリオ構成的にも拍手を送りたいです。やはり悪役はこうでないと。

逆裁3を名作たらしめた要素の1つとして個人的に彼女の存在は非常に大きいです。やはり良い悪役がいることは名作の条件として非常に大切です。

まとめ

逆転裁判1,2,3における真犯人の特徴を作品別に解説し、更に深く解説したい真犯人を個人的意見込みで述べさせていただきました。

今まであまり意識してこなかったのですが、シリーズごとに真犯人の傾向がある程度あり、それを考えることが記事を書く上で楽しかったです!

今や続編情報が全然出なくなってしまった逆転裁判シリーズ。多種多様な悪役を描くことは大変だと思いますが、もし新作が出たら更に強いインパクトを持つような真犯人を登場してほしいと願わずにはいられません。

逆裁シリーズは1~3が非常に有名ですが、他もプレイして損のない内容となっています。この記事を読んで逆裁熱が高まったプレイヤーはこの機会に是非4~6や検事シリーズ、大逆裁シリーズもプレイしてみてくださいね。

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