逆転検事1,2における真犯人についてとラスボスについて

逆転検事1,2における真犯人についてとラスボスについて

逆転裁判1~3の真犯人解説を以前書いたからには、検事シリーズも書くしかないでしょう。

逆転裁判1~3における真犯人について&お気に入り真犯人キャラ – ルルアリーのお気楽ブログ (mypaselife.com)

逆転検事シリーズはあまりプレイしている人がいませんが、時系列的には3のすぐ後ですし、1,2,3をプレイした人向けファンサービスも多数あるので1~3をプレイした人は是非プレイしてみてほしいですね。

検事シリーズの真犯人傾向や描写を個人的な意見込みで解説します。また、裁判シリーズと異なり検事シリーズは各シナリオごとが濃く繋がっていて最終話で一つにまとまる構成なので、なるべくラスボスに焦点を当てた記事にしていきたいと思います。

※記事内容は前回同様ネタバレのオンパレードです。特に検事2のラスボスは今なおTwitter上で名前を伏せる人が多いほどネタバレが命取りなので未プレイ者はすぐにカムバックしましょう!

逆転検事

全ての真犯人が密輸組織繋がり。悪を倒す明快な物語

最初にも述べた通り、検事シリーズは全ての話が繋がっています。そしてそれは真犯人も例外ではありません。優木、白音、葛はいずれも本作のラスボス・カーネイジの部下ですし、光も父親である丈一郎が密輸組織と繋がっています。

本作のストーリーは「密輸組織」という単語抜きでは語ることができません。密輸組織は本作における典型的な悪の組織として描かれています。

その悪の組織絡みの面子と対決していく、ということで本作は所謂同情系犯人は登場しません。そのためストーリー展開としては割と王道です。スピンオフ作品1発目&賛否の分かれた4の後の発売といことで手堅くまとめてきたのでしょう。

ですが裏を返せば刺激は少ないストーリーだったという印象です。よく検事1は「旧キャラ・ファンサービスに力を入れていて肝心の本編は微妙」と言われています。真犯人も他作品と比べると正直これといった人物はいないです。

まあ優木検事は1話の敵らしく変人だし(前々から思っていたけれど1話真犯人の変人率高くない?)、白音は可愛さと侮れ無さのギャップが人気だし別に地味というわけではないんですけどね。印象が薄いのは犯行動機が全体的に弱いからかもしれません。口封じだの密輸がばれただのそんなのばっかり。

例外は葛。過去に因縁がある&予期せぬ形で再登場するという、3に登場するちなみを思い出すキャラで、ラスボスよりもラスボスっぽいと言われることもしばしば。ただ私としては葛も正直悪役としては弱い、というかよく分からないキャラです。

何というか葛って罪状は相当重いけれど結局カーネイジの言いなりだし、何で密輸組織に入ったのかがよく分からないし、最後まで徹底してクズキャラを描ききれば良かったのにアドバイスをちょっとくれたりするし…

とにかくどんな奴なのかが最後までいまいち掴めなくて悪役としての魅力をそんなに感じませんでした。というかちなみが宿敵キャラとしても悪女キャラとしてあまりにも完成されすぎている。

裁判シリーズに比べて検事シリーズは知能犯が多い?

逆転裁判というゲームはミステリーでありつつも霊媒を筆頭にトンデモ現象を巻き起こしたり、「そんな考え方ある!?」と突っ込みたくなるようなハッタリ・逆転ぶりが特徴であり、ある種の魅力だと感じます。

ですが検事シリーズの主人公はクールで頭脳明晰な御剣怜侍です。霊媒は一切登場しない上、ロジックシステムで段階を踏んで着実に進めていくスタイルが印象的です。

美雲の「ぬすみちゃん」も一見チートアイテムに見えますが、現場の状況を視覚的に再現して疑問に思う点を徐々に修正していくという進め方は論理的思考が得意な御剣と相性が良い内容だったと思います。

それもあってか、検事シリーズは全体的に頭の良い真犯人が多いと感じます。殺人に関しても殆どが突発的なものであり、それにも関わらず事後工作が上手い。白音なんて2話の真犯人なのに(しかもあんなにやる気なさそうにしていてw)割と真っ当に反論していて感心しましたね。

光とかも正直動機ショボいし小物だしで悪役としては弱いですが、犯行計画自体は突発的にしては大分手の込んだものですからね。白音といい光といい「一見強敵に見えなさそうなキャラ」の方が意外と頭の回転が速い印象です。

しつこすぎる?でも私はお気に入りよ、カーネイジ

本作のラスボスは密輸組織のボスであるカーネイジ・オンレッドです。1~4話まで存在を匂わせてきた組織の親玉という分かりやすい悪役像ですし、ラスボスに相応しいキャラのはずですが、何故かあまり人気がありません。

歴代のラスボスに比べても話題に挙がらないですよね。でも私は結構好きです。豹変も狂ったり怖くなったりするタイプではなく、キリッとかっこよく豹変するタイプなのも印象深いです。

密輸だけでなく5話の中だけで2件の殺人、通貨偽造、組織のボスとして1~4話の殺人にも間接的に関わっていることになるため犯罪スケールはラスボスとして文句なしです。

よく狩魔や巌徒は「最後に潔さを見せてくれたから好き」と言われがちですが、そもそも殺人を犯すような悪党に潔さは必要なのでしょうか?最後の最後まであがいてこそ悪役だと考えています。

前述した通り私は葛があまり好きになれなかったのでカーネイジがラスボスで良かったと感じました。

シーナの正体が葛だと判明したときの鳥肌はやばかったですけどね…でも葛は正直そこがピークでそれ以降は印象薄し。その点検事2のラスボスは正体判明後もキャラの深堀りがバッチリで良かったです。

カーネイジが嫌われがちな最大の原因は対決が長すぎるという点でしょう。5ちゃんねるでも「逆転検事のカーネイジ大使はアレバストシブトイ」といスレタイのスレがあるくらいですしw

まあ途中から難癖付けている感は否めませんでしたが、あっさりやられるよりは全然良いと思います。ただあんなにかっこいいテーマ曲を持っているのに、段々言い訳時のテーマに聞こえてくるのはちょっと笑ってしまいますがw どんな良曲も使い方次第で印象が変わるという良い例です。

あと狩魔や巌徒に比べると小物臭さは否めなかったかもしれませんね。矢張やオバチャンといったトラブルメーカーに翻弄されたり、対決~プレストが流れている場面での証言がトノサマンショーの内容というかなりギャグ臭い内容だったり。

そうは言っても狩魔もちょいちょいお茶目な部分はあるし、個人的にこのくらいなら妥協範囲です。

カーネイジがひたすら粘り続ける中ダミアンや美雲、狼、イトノコ、矢張やオバチャンまで次々と「待った!」で呼び止める展開はラストバトルに相応しい熱さでとてもお気に入りです。

このように一見対決に関係ない人々がガンガン駆けつける演出は法廷パートがない検事シリーズだからこそ可能であり、裁判シリーズとの違いを実感させられるという点でも心惹かれる展開でした。

逆転検事2

まず最初に述べておきますが、私は逆転検事2のシナリオが大好きです。まだ逆転裁判シリーズは全てのシリーズをプレイできていないのですが、今まで体験してきたミステリーの小説・ゲームの中でも1,2を争うほど全体の作りが上手いシナリオで、最後の締めくくりまで完璧でした。

そのため今回の解説はかなり熱のこもった物になっています。検事1が良くも悪くも無難なシナリオだっただけに私が検事2にここまでハマるとは思わなかったなあ。

全ての事件・真犯人が最終話の事件・ラスボスに繋がる神シナリオ

「全ての話・真犯人が最終話・ラスボスに繋がる」という点は前作と同様ですが、その繋げ方がずっと進化していました。

本作は1~4話は一見何の繋がりもないストーリーに見えます。しかし1話の真犯人が2話で被害者となったり、3話で一部判明しなかった事件の真相が4話で明かされたりと、ほんのりと繋がりを感じさせる部分が要所要所で見え隠れします。

それからの最終話となる5話で、まさに総まとめと言わんばかりの繋げ方を見せつけてくれるのでシナリオ構成が神がかっています。1~4話の各犯人である内藤、マリー、風見、万才はそれぞれ様々な形で本作のラスボスと繋がっています。

検事2は「この話必要なくね?」というエピソードが一切ないのが凄いです。そしてそれは真犯人も同様です。誰か一人でも欠けたら検事2のメインストーリーは劇的に変化します。

また、逆転検事2という作品のメインストーリーを描いた上で、御剣信と狩魔豪の因縁も描くというファンサービスにも答えています。こういう所はスピンオフ作品らしさが出ていますね。ファンサービスに答えるだけでなく話の内容自体も面白いし、ラストは切なくなること必至。

本作は逆転裁判シリーズに多大な影響を与えた真犯人が2人もいます。風見豊一柳万才です。何と言っても逆転裁判シリーズにおいて切っても切り離せないDL6号事件に関連する人物ですからね。

ただDL6号事件の直接的な諸悪の根源である狩魔豪が検事2で相対的に悪役としての濃度が弱まったという難点はありますが。後述しますが風見も万才も親としてあまりにもアレなので家族思いの狩魔が良い人に見えてしまうというのもあります。

後付け設定なだけにこの辺りは人によっては少々嫌悪感を抱くかもしれません。ただあまりここに関する批判を見かけないので私の考えすぎかもしれませんけどね。

あっちもこっちもクズばかり、その分倒しがいは抜群

本作の真犯人における大きな特徴としてシリーズの中でも上位を争うクズが多数登場するという点です。その中でも万才は「逆転裁判シリーズで1番のクズは誰か」という話になると最初に名前が挙がる筆頭候補です。

法曹界の大物だし、私利私欲でしか動かないし、息子に対しても酷い扱いだし、上述の通りDL6号事件に結びついているキャラだし…端的に言えば今までの真犯人の悪い要素を全て詰め込んだようなある意味とんでもない人物です。

御剣からも「貴様は本当に最低の人間」と言われる始末。あのみっちゃんがここまで言うことって早々無いのでは?

とはいえやはり悪役はこのように「悪役の鑑」と言えるようなキャラだと倒しがいがあって良いですよね。特に5話で弓彦が万才にトドメを刺すシーンは弓彦の成長も相まって凄まじいカタルシスを感じました。

その他のクズと言えばマリーや風見がまず挙げられますね。被害者となってしまったので今回は除外するものの、影武者も大概です。

影武者とマリーは1話及び2話の段階だとそこまで悪人に見えないのでなおさら意外性を感じます。風見は万才同様に人としても親としても問題人物で、万才がいなければ恐らく風見が検事2の最クズ人間だったでしょう。

風見は被害者有数のクソ人間である氷堂と違って同情の余地は割とあるし、事件前までは普通の人っぽくはあったんですけどね。ただそれを感じさせない悪人としてのキャラ付けにより半端に切なさや良い人属性とかを入れなかったのは個人的に好印象ですね。3のちなみにも同様のことが言えます。

ラスボスについては後述するとして、後は1話の真犯人・内藤ですね。内藤は1話犯人相応のイキリ野郎という感じですが(「異議あrrりイイ!」みたいな巻き舌めっちゃ好き)、1話真犯人の中ではトップクラスに手強いので諸平野とか優木検事みたいなギャグキャラっぽさは薄めです。

それにストーリーが進むと内藤はただのイキリ野郎ではないという事実が判明するんですよね…犯行動機がしょうもないので同情する気にはなれないですが、本作のストーリーを語る上で欠かせない人物なのは間違いないです。

検事2はミステリー作品としての出来、ぶれない作品のテーマ、完璧な作りのシナリオ構成など隙のない優等生のようなストーリーです。

それもあってかお遊び少なめの作風となっており、それが真犯人のキャラ性にも影響しています。3の哀牙や5の一路先生みたいな色んな意味で”逆裁らしい”キャラ付けの真犯人がおらず、結構シリアスな背景を持つ真犯人やガチめな悪人が揃っている印象です。

悪人ぶりも悲劇性も最高峰、私が1番好きなシリーズのラスボス

ここまで記事を読んでくださっている方ならば、もう名前を伏せる必要はないですよね。本作のラスボス・猿代草太についてです。

ラスボスどころか全ての真犯人の中でもトップクラスに好きなキャラです。草太のせいでシリーズにおけるラスボスに求めるハードルをグッと引き上げてしまったある意味罪なキャラです。検事2が大好きな理由の大きなウェイトを占めているのは間違いありません。

基本的に逆転裁判シリーズはいかにも悪役らしく振る舞うキャラに対してどのように犯行したかを証明するゲームです。

それに対し彼の場合はストーリー全体を通して暗躍しています。黒幕だと分かる伏線がかすかに匂わせられていたり、一度信頼を築いたキャラが実は黒幕だったという展開など本格ミステリー小説を読んでいるような気持ちになり、ミステリー好きとしては食いつかざるを得ないストーリー構成でした。

狩魔や万才みたいないかにもな悪の親玉!というタイプも好きですが、私はどちらかというと王都楼やちなみなど「生まれも身分も一般人だけどヤバい奴」というタイプの悪役が好きなので草太はまさにそのタイプでテンション上がりました。

実際、草太は王都楼を意識したような設定がかなり多いんですよね。

・誤認逮捕される真犯人

・表向きの性格がとにかくヘタレ

・豹変する系の若い男真犯人

・豹変後の凶悪な性格

・虎狼死家から命を狙われそうになる

など。あとタチミサーカス団員というのも逆裁2プレイヤーには嬉しい設定ですよね。

以前の記事でも述べましたが私は1~3の中だと2が1番好きで、特に「逆転サーカス」と「さらば、逆転」は今なお忘れられないお気に入りエピソードなので逆裁2の面影を強く受け継いだ草太がお気に入りキャラなのはそれも理由として大きいでしょう。

彼といい3の哀牙といい、権力などの特殊能力に頼らずに自分なりに計画を立てて事件を引き起こす真犯人が好きですね。どちらも甲乙付けがたい強敵です。

計画の安定性やゲーム的な難易度では哀牙の方が上ですが、起こした計画の壮大さとそれに対する立証できた罪の数の少なさでは草太の方が勝っています。

「可哀想な面がある悪役キャラ」があまり好きではない私ですが、そんな私でも草太の背景描写は良かったと感じています。法を信用できない、父親の風見を見下す理由、万才達に恨みを持つ理由などあの歪んだ性格になる過程に大いに納得のいく描写になっています。

その上でちゃんとむかつく奴だから倒しがいがあるのが良いですよね。なのでアクロやゴドーみたいにやるせない気持ちにならないし、ちなみみたいに悪人ぶりが凄すぎて同情する気になれない訳でもない。

この「すごくむかつくけれど哀しい悪役」という描写がとてもバランスの取れた上手いキャラクター設定だと感心しました。シリーズの真犯人の中でも唯一無二の個性を与えられた良キャラです。

了賢が助けてくれて彼と一緒に刑務所に入るという展開も同情出来る派・出来ない派共に納得のいく後味の良い結末だし、草太の存在により御剣が検事の道を進むと決めるという展開も秀逸です。

キャラクター性だけでなく本作のテーマである”親子”の皮肉めいた繋がりや演出の描写、ストーリーの締めくくり方まで練り込まれたラスボスで、検事2の最後の方はもう終始「美しいシナリオ構成だ…」と惚れ惚れしていました。

まとめ

逆転検事シリーズの真犯人の特徴とラスボスについて解説しました。改めて振り返ってみると検事シリーズはナンバリング作品に引けを取らない作品のクオリティーですね。法廷モードがないことについて否定的な意見も見ますが、対決パート自体はあるので逆裁と変わらない感覚でプレイできますし。

検事1は個人的にはそこまで好きという訳でもないですが、逆裁らしいコミカルさと少しずつ悪の親玉に近づくシリアスさのバランスが良く、上手くまとまった作品だったと思います。

検事2は「ゲーム・映画・小説などにおける悪役キャラの重要さ」を再確認できた作品でした。ラスボスを筆頭に各真犯人が色々な意味で忘れられない存在感を持っているのが高評価です。それでもって”親子”というテーマをこの上なく濃密に書ききっているのだからそりゃあ面白いストーリーになるわけです。

逆転裁判シリーズの真犯人解説記事は一旦ここで終了させていただきます。4~6、大逆転裁判シリーズは私もまだまだ勉強中ですので書けるようになるほど知り尽くしたら書いていきたいです。

あと検事シリーズ未プレイ者は万が一この記事でネタバレを見てしまったとしても諦めずにプレイしてみてください!私の口で解説するのと実際にプレイしてみるのでは当然違いますので面白さが損なわれることはないですよ。

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