王道進化の正統派作品・ドラゴンクエストVIII の魅力

王道進化の正統派作品・ドラゴンクエストVIII の魅力

お馴染みとなってきましたドラクエシリーズ解説記事、今回はドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君です。

6、7とストーリー的に変則的な作品が続いたDQシリーズ。それに加えて前作の7が良くも悪くもイレギュラー、好き嫌いが分かれやすい展開だったためか、今作は3とか5を思い出すような作風になっているのが特徴だと思います。そのため世間一般的には安定して高い人気を誇る作品です。

私としては前作の7や天空シリーズなどの方が好きなので8はシリーズの中では中間くらいの好き具合ですが、嫌われそうな要素の少ない、手堅くまとまった作品だと感じました。詳細は後述しますが、ほど良い手応えとバランスの良いシステムにより、“ゲーム”としての出来はかなり良いですね。

DQ8がどのようなゲームなのか、私の好きな要素などを解説していきたいと思うので参考にしてくださったら幸いです。

遊べるハード

ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君はPS2、3DS、スマホで遊ぶことができます。ちょっと注意しなければならない点はスマホ版が出たのは3DS版よりも前ということです。

そのため基本的にDS、3DS版のものをスマホに移植している他のDQシリーズと異なり、8のスマホ版はPS2版の移植になっています。

スマホは確かに気軽に遊びやすいですが、もし3DSを持っているならば3DS版を強くオススメします。何と言ってもゲルダとモリーが仲間加入するのは3DS版だけですし、ナンバリング作品初のフルボイス化、オーケストラ音源のBGMなど魅力的な点がたくさんあります!

PS2・スマホ版に大きな欠点があるというわけではないのでこれらでも100%楽しむことができますが、120%以上楽しみたいならば3DS版をプレイするべきでしょう。

私の好きなところ、魅力

DQ8はグラフィック進化の凄まじさが何よりも話題になります。DQ10、11がある現在ではそんなに注目ポイントではないですが、DQ8のグラフィックは今見ても古臭さを感じさせないのが凄いですね。

「あまりレトロゲー臭するゲームはしたくないなあ」というプレイヤーはDQ8プレイを検討しても良いと思います。

王道ストーリーだけど中々凝っている

ストーリーに関しては最初から倒すべき敵が明確になっているし、DQ6のような複雑な世界観でもないのでストーリーを読み解くのが苦手な人でもプレイしやすい作品です。この点は高く評価して良いと思います。

今作ですが、キャラの死を目の当たりにする場面が多いので微妙に後味が悪いです。重いストーリーは私の好物ですが、DQ8はその重い展開の魅せ方がワンパターンだった感は否めません。

次どうなるか読めてきてしまうし…

とはいえプレイ中は何だかんだストーリーに感情移入していました。むしろ展開が読めるからこそ、「うわ、この人が次○ぬのか…良い人なのに…」という感じになって、不意打ちに来る死よりも別ベクトルで切なさが増していき、印象的でした。

あと中ボスのドルマゲスも本作のラスボスも、作中で「コイツは許せない!」とプレイヤーが思わせるような、倒したくなる悪役になっているのも良かったです。

特にドルマゲスはボイスが付いている3DS版では狂気さが増していて素晴らしいですね。戦闘面でもDQ6のムドーを思い出すような手強さで、倒した際のカタルシスはシリーズ有数のものとなっています。

あとドルマゲスみたいな悪の大物とは別ベクトルの悪役として、マルチェロとその周辺のキャラ描写も非常に好きです。境遇的にはかなり可哀想な奴なのですが、それが悪の道に進む過程として説得力のあるものになっていて、魅力的な悪役になっています。

マルチェロの法皇就任演説は本作有数の名シーンだと思います。彼はやっていることはただのカスなのでああはなりたくないですが、あそこまで出世できるほどの、目標に向けたがめつさは見習いたいです。

この手の「完全悪ではない人間姿の悪役」は他DQではピサロやホメロスあたりも該当しますが、私はマルチェロが最もストーリー内での描写が丁寧で良いキャラだと感じました。

ラストバトルの熱さがシリーズ随一

今作のラスボスは主人公達には見えないところで暗躍しています。そのため存在感は特別あるわけではないですが、功績自体はラスボスとして遜色ありません(ほぼ世界征服した7のラスボスと比べてはいけない)。

そしてラストバトルが熱い理由としては、ずばり演出音楽です。レティスに乗って戦うという演出は熱いです。味方側が戦っている様子が映し出されるDQ8だからこそできる演出をしっかりと考えてくださったことに感謝したいです。

レティスの正体が○○○○だと知った後だと、ますますこの演出はDQシリーズファンに寄り添ったものなのだと気付きまた違う感動を覚えます。

そして何と言っても音楽が素晴らしい!DQシリーズのラスボス曲の中では数少ない、ハッキリと曲を覚えているほど好きなBGMです。ラスボス曲は3や9も人気ですが、私は8が1番好きです。詳細は音楽の欄で語ります。

PS2版も良いですが、3DS版ではラスボスの大幅強化によりバトルが白熱するのでこの熱い演出と音楽がベストマッチです。1,2を争う印象的なラストバトルになりました。

戦闘バランスが良い

8が出るまでDQシリーズは3が最も安定したゲームバランスだったと私は思っています。逆に3以外のゲームバランスはどうだったかというと、

・成長システムがシンプルで仲間もいないor少ないので育成の楽しさがない(DQ1,2)

・強いキャラと弱いキャラとの格差が激しい、スクルトが強すぎてシリーズ屈指の低難易度(DQ4)

・仲間モンスターが強いので空気と化す人間キャラ、4ほどではないが低難易度(DQ5)

・強力な特技が消費MP0で打ち放題な上、誰でも習得可能(DQ6,7)

…といった風に何かしらの欠点を抱えていました。

ですがDQ8は難易度面でもゲームバランス面でも3と引けをとらないです。主に評価したいのは、

1.「魔法使いタイプ=弱い」の法則を脱却

バーバラもマリベルも一般的に弱いとされており、馬車に入れたり留守番にしていた人も多いと思います。しかしゼシカは杖スキルのおかげで攻撃呪文が使いやすいこと、補助呪文が充実していること、武器スキルを伸ばせば物理攻撃でも活躍できることなどにより他キャラにない個性や強さを持っています。

とはいえHPが低くて打たれ弱いことに加えてスキルを上げないと物理攻撃が弱いので、これでも他キャラと比べても突出した強さというわけではありません。この辺りは上手いこと強さの調整をしましたね。

2.スキルシステム初搭載

転職システムと並ぶくらい、スキルシステムを私はかなり評価しています。周回プレイごとに

今度はこのスキルメインで振ってみよう!

と変えることでプレイする度に異なる楽しみ方ができます。それでもって各キャラが同じような性能になるなんてことがなく、各々の持ち味がしっかりと活きています。

ただし初めてスキルシステムを導入した作品だからか、まだシステムには粗がいくつかあります(詳細は後述)。DQ9~11でも続投されているだけでなく、ますます改善されていっているのでこのシステム自体は好評なのでしょう。

3.難易度が高く、やり応えがある

今作は比較的難易度が高い部類の作品だと思います。特定のシーンのみ苦戦するということがなく序盤、中盤、終盤と全体を通して歯ごたえがあると感じました。

オセアーノンなんて行動パターンをあらかじめ知っておくor途中で理解できなければほぼ勝てないレベルです。トラップボックスも各種行動が厄介で中々苦戦した記憶があります。あと初見殺しとして定番ですがドルマゲスとレティスが非常に手強いです。

特に3DS版は仲間キャラが増えた影響でボスが大幅強化されています。分かりやすいところで言うと、レオパルドやマルチェロはPS2版と比べて攻撃力が100も上がっています。PS2版では物足りないと感じたプレイヤーは3DS版をプレイすると印象が変わるかもしれません。

DQ9以降の作品はどれも呪文・特技のバランス面などは中々良いですが、9や11は難易度が低めです。10はオンラインゲームなのでバランス調整がよく入りますし、安定しません。それを踏まえると“ゲーム”として面白い作品は3と8がツートップだと考えています。

魅力的なBGM

シリーズの例に漏れずBGMの出来は安定です。私はDQ7以前に好きなBGMが多いため、それらに比べると格落ちするかなあという感じではありますが、それでもお気に入り曲は複数あります。

通常戦闘曲も最初は微妙だと思いましたが、何度も聞いているうちに段々好きになってきました。あとオーケストラverの通常戦闘曲は凄くかっこいいです。

DQ9以降は印象に残る曲が少なくなってきたと感じているので、そういう意味でもそろそろDQ8みたいにグラフィックが綺麗で音楽も魅力的な作品が欲しいですね。

私のお気に入り曲をいくつか挙げていきたいと思います。

1.対話

本作はシリーズでは珍しく、町のBGMが2つあります。そのうちこれはカジノがあったり規模の大きい町で流れるBGMとなっています。「対話」といい、6の「木洩れ日の中で」といい、どうも私は高音を多用していてテンポの良い町の曲が好きみたいです。

8の町全部この曲でも構わないくらい好きです。それだけにDQ10や11でも使われていたのは嬉しかったですね。特にDQ10はネトゲゆえにプレイヤーがたくさんいるのでこの活気盛んなBGMが良く合っていました。

2.海の記憶(海BGM)

海のBGMが人気なのはDQ4と6の印象がありますが、それに負けじとDQ8も壮大で美しいBGMです。DQ8の場合、フィールド曲が割と壮大路線にも関わらず海のBGMが格落ちしないスケールの大きさなのが良いです。静かなイントロからのあの盛り上がりがとてもメリハリが付いていて、一気に世界観に引き込まれます。

3.大聖堂のある街

サヴェッラ大聖堂で流れるBGMです。他にも海賊の洞窟におけるゲルダ登場時、エンディング前など割と色んなイベントで流れます。あまり話題にならないですが、DQ8の名曲といったらまず挙げたくなる隠れ名曲だと思います。DQ11でも流れてくれて嬉しかったです!

出だしから盛り上がるのでインパクトは抜群です。終始豪華絢爛という感じですが、ほんのりとドラマ性も感じます。私は上述したとおり法皇就任演説のシーンが好きなので、この曲が流れる機会の中でもやはりこのシーンが1番印象的ですね。

4.おおぞらに戦う(ラスボスBGM)

ラストバトルの項目で述べた通りです。DQ3の「勇者の挑戦」も大人気曲ですが1ループが短いのがネックです。それに対しこちらは起伏豊かな曲でずっと聞いていても飽きにくいのが魅力です。

DQシリーズ屈指の人気曲である「おおぞらをとぶ」のメロディーが流れた時の鳥肌と、そこからの盛り上がりが最高すぎます。迫力に満ちた音とメロディーはオーケストラ音源との相性も抜群なのでPS2版しか聞いたことがない人は是非Youtube等で聞いてみてください!

この記事を書くついでにDQ8の音楽を色々調べてみましたが、ハードがPS2になったからなのか、より深みのある曲が増えた印象を受けました。今回は解説を省略しましたが、フィールド曲や塔の曲も今までにない曲調ということで非常に高く評価されています。

メロディーが原点回帰感ある城の曲や洞窟の曲も割と好きです。総括すると、新しい風を入れつつ今までのイメージも大切にしたDQ8の音楽は良い出来だったと思います。

個人的に好きではないところや欠点など

DQ8は他作品ほど際立った欠点や好き嫌いが分かれやすい要素は少ないと思います。ただし細かいところや、過去のDQシリーズを愛しているプレイヤー視点だと気になる点が結構見つかりました。

以下に述べていく要素が、個人的にDQ8を自信満々に「大好き!」と言いにくい点なんですよね…

ストーリー面における不満点

今作のストーリーは個人的な好みを踏まえると「素晴らしい」とまでは言えないのですが、1作品としては先が気になって充分面白い出来に仕上がっていると思います。

ただそういう個人的好みを抜きにしてもちょっと問題のある要素が2つほどあります。

1つ目はエンディングがイマイチという点です。

厳密に言えば城で大宴会が催される所までは全く問題ありません。問題はチャゴスという良いところが全くないダメ王子に関することです。

(以下ネタバレ含むので未プレイ者は一応注意)

ミーティアとチャゴスなんかと結婚させたくないから結婚を阻止させて逃げ出すという、ストーリーで最も重要なエンディングでかなりドタバタした展開になります。

そりゃあチャゴスはどうしようもない奴だし、ミーティアとチャゴスがあのまま結婚するのもプレイヤーがモヤモヤするから結婚阻止がダメとは言わないけれど…

何というか、この下りエンディングでやる意味ある?と感じました。

DQシリーズの締めくくりって他は総じて秀逸なんですよね。華やかな大団円を迎えるDQ5、切なさ漂うDQ6、偉業を成し遂げたがいつも通りの生活に戻るDQ7などエンディングの様子は作品によって異なりますが、しみじみとするラストが多いです。

それらに比べるとDQ8のエンディングはあまり感動しなかったのですが、恐らくこのドタバタ気味で終わりの余韻に浸る演出がない点が大きいのではないでしょうか。

2つ目は主人公の出自が判明するのがクリア後ということです。

出自に関する伏線がちょいちょいあるにも関わらずエンディング後の隠しボスまで到達しないと分かりません。私はDQシリーズはクリア後プレイしないことの方が多いのでこれは微妙だと思いました。

例えばDQ4のクリア後はifの世界線のようなもので無くても成り立ちます。DQ11のクリア後は隠しボスとかではなくしっかりとストーリーがあるのでやりこみ派ではなくてもプレイしようと思える仕様になっています。

何というか上手に言葉で表現できないのですが、DQ8は従来通り隠しダンジョン&隠しボスというスタンスにも関わらずストーリーに絡んでいるというのがちょっとイマイチでした。

(ネタバレここまで)

スキルポイントは振り直し不可&コンプリートほぼ不可という不親切仕様

スキルポイントが振り直しできないのは、率直に言ってダメだと思います。最終的に全部習得できるなら良いですが、ポイントが計350ポイントしかないことを踏まえると、取り返しのつかない要素になってしまいますからね。

特にPS2版ではスキルポイントを溜めることができないので早い段階から成長の方向性を決めなければいけないという不親切仕様となっています。DQ9以降と異なり、何ポイントで何を覚えるのかが全く分からないのも不便です。

一応スキルのたねを使えばスキルポイントを増やせますけど、あまり現実的ではありません。

この辺りは制作側も反省点だった模様であり、

・DQ9では転職・転生を繰り返すことでスキルのたねを使わなくても充分スキルポイントがたまるようになる。

・DQ10ではやり直しの宝珠で振り直し可能になる

・DQ11でも振り直し可能。更に習得特技の内容をあらかじめ確認できるようになる

といったようにどんどん改善されていっているのは良いですね。

もし攻略難易度が上がって取り返しがつかなくなったら嫌だというプレイヤーは、スキルを振るときだけは攻略サイトを見ても良いでしょう。大きなネタバレになるようなことは書いてないはずですし。因みに私は

主人公→槍+勇気

ヤンガス→斧+人情

ゼシカ→杖+お色気

ククール→杖+カリスマ

でラスボスまで行きました。ククールは剣や弓に振る人も多いので人によって好みは異なりますが、これが無難だと思います。

3DS版で追加されたゲルダは扇+アウトロー、モリーは打撃+熱血です。キラージャグリングやゴールドフィンガーはクリア前あまり必要無いのでクリア後習得でも遅くありません。

パーティーメンバーのキャラが妙に薄い気がした

DQ8ってDQ4~7や11に比べて仲間キャラの印象が正直薄いです。何でだろうと考えたのですがDQ7以前と異なり町の人に会話する度に反応する、といったことがないからというのが理由として大きいと思いました。

DQ11も同様ですが、こちらはそもそもストーリーのイベントが多いので仲間キャラの出番が多く、特に大樹崩壊後は仲間キャラの掘り下げが深く行われるためDQ8ほど気になりませんでした。

キャラに関して言えば何だかんだ1番印象に残っているのはヤンガスですね。愛嬌あるし、主人公のことをずっと慕ってくれる良い奴ですし。「おっさんいつのまに!」を筆頭にコミカルな言動が多くて面白かったです。妙に憎めないのはトロデも同様です。

ナルシストキャラがあまり好きではないので私はいまいちハマりませんでしたが、ククールも個性的ですし、貴重なイケメン枠ですし、マルチェロとの接点があるのでストーリー的にも目立つ要素があり、中々良いキャラだったと思います。

その反面、女キャラはいまいち印象に残りませんでした。

ゼシカはドラクエシリーズの中でも人気が高いキャラなのですが、世の中の男プレイヤーどもを興奮させることしか考えていないあの格好には正直引きました…どんなにセクシーキャラだとしても胸はちゃんと隠さなければまずいでしょう。そもそもゼシカって容姿的には可愛い系なのであの体型自体合っていなくて微妙なんですけどね。

キャラ的にも「気の強い魔法使い系のお嬢様」という点が前作のマリベルと被っており、どうしてもマリベルの濃いキャラやセリフと比較してしまいゼシカは「勝気を無理して振る舞おうとしている女の子」感が否めませんでした。

正義感強いし、優しいし、イイ子なのは伝わってくるんですけどね。

ミーティアは出番自体は多いし、性格的にもまさに王道のお姫様という感じのキャラです。ただ基本が馬姿なのでどうしても印象は薄くなりますね。DQシリーズは大人しい系女子は地味になりやすいのですが、それに更に追い打ちをかけられた感があります。 

ゲルダは以前の記事でも述べた通り、私の好きなキャラクターの一人であり、8の女キャラの中では彼女が1番タイプです。

私のドラクエシリーズの好きな女キャラ7選 – ルルアリーのお気楽ブログ (mypaselife.com)

ただ仲間加入は遅いですし、会話もまともでそこは残念ポイントでしたね。デボラみたいにゴリゴリにツンデレにしろとまでは言いませんが、せっかくの新たなパーティーメンバーなのでもっとはっちゃけて良かったと思います。

だらだらと文章を書いてしまいましたが、総括するとDQ8は印象に残る仲間キャラがあまりいなかったですね。モリーも面白キャラだと思ったら案外普通だし、仲間加入した途端大人しくなるキャラが多かったです。

仲間が5人以上になると即馬車入りするほどヤンガスが弱い(3DS版)

DQ8はPS2版では4人固定パーティーだったわけですが、パーティーのバランスが良く出来ていたと思います。王道の「勇者+戦士+魔法使い+僧侶」という組み合わせで。

スキル次第では主人公がベホマズンを用いて回復役として大活躍したり、ククールが剣や弓で優れた攻撃役になったりとただベタな役割だけでは終わらせない育成の柔軟性があったのも◎。

ですが3DS版ではゲルダとモリーが加入したことでパーティーバランスが崩れ始めました。この2人がかなりの強キャラであることも問題なのですが(特にゲルダ)、それ以上に問題なのはヤンガスの強みが殆ど無くなってしまったことだと思います。

ヤンガスは元々殆ど攻撃しかできない脳筋だったのですが、それでもPS2版では主人公やゼシカが回復や補助に回ることがある都合上、安定したダメージソースと高いHPによる打たれ強さで存在感はありました。それに対し3DS版では

・そもそも火力自体他キャラと比べ突出して高い訳ではない。何なら素早さが低い分攻撃役としては使いにくい。更にゲルダのキラージャグリングがPS2版ゼシカの双竜打ちを思い出すイカレ火力。

・6人の中で唯一ベホマもザオリクも覚えない。メガザル使いという強みはあるが、メガザルの呪文の特性上ギリギリで使いたいのでますます馬車が定位置に。

・ゼシカのように補助呪文が優秀なわけでもないし、モリーのようにテンション上げやゴールドフィンガーといった他にない強みがあるわけでもない。

・「大どろぼうのかま」はアイテム収集に便利な特技であり3DS版ではより扱いやすい仕様になったが、ゲルダのオート盗むがあるのでそこまで必要な特技でもなくなった。

・ヤンガスと言えば斧スキルだが、斧スキルを代表する「かぶとわり」と「大まじん斬り」はどちらもモリーが打撃スキルで同じ内容の特技を習得する。

・モリーを抜きにしても「かぶとわり」と「オノむそう」はPS2版よりも弱体化している。

こう並べてみると制作者サイドはヤンガスに恨みでもあるのかというレベルで3DS版のヤンガスは性能的に良いとこなしです。

フォローしておくと、中盤までは普通に活躍できるのでトルネコテリーといった面子と比べると扱い的にはマシです。リメイクした結果、相対的に弱キャラ化したというのも寂しい話ですが。

3DS版は双竜打ち弱体化やククールの序盤のスキルポイント数の増加など、難点を改善しようとした節は垣間見られるのですが、別の要素で難点がいくつか生まれたので総合的に見ると改善されたかは微妙です。

ライトニングデスの強化とか必要だったか?と感じてしまいます。

まとめ

DQ8をストーリー、システム、BGMなど様々な点において細かく解説していきました。

DQ8は「1番好き」という人はそこまで見ませんが、人気ランキングでは上位に来やすいという所謂佳作の立ち位置だと思います。”DQらしさ”はシリーズ全体を通してもかなりあります。やや難易度は高めですが、DQ慣れしていない人がDQの世界観に触れるには向いている作品と言えるのではないでしょうか。

特にグラフィック重視派は買って損無しです!DQ7以前の作品を沢山プレイしてきた人ほど今作の綺麗なグラフィックは感動すること間違いなしです。

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