デトロイトビカムヒューマンという奥が深すぎるゲーム

デトロイトビカムヒューマンという奥が深すぎるゲーム

「デトロイトビカムヒューマン」 (Detroit Become Human)というゲームの感想を一言で表すのであれば凄いです。是非より多くの人にプレイしてほしいと感じています。

面白いとか感動するとか他の感情も色々出てくるのですが、私としては凄いゲームだなというのが第一に思い浮かびましたね。映画では体験できない、ゲームだからこその面白さを存分に出せている素晴らしい作品です。

どのようなゲームなのかを知らない人もいると思いますが、そういう人にも魅力が伝わるように解説していきたいと思います。

ゲームだからこその面白さ

デトロイトビカムヒューマン(以下デトロイトと表記)の特徴として真っ先に挙げられるのは、プレイヤーの行動によってストーリーが大きく変わること、そしてその分岐が尋常じゃない多さという点です。

この特徴のおかげにより、ゲームという媒体であることがもの凄く活きてきます。最後までプレイした後に周回プレイができるというのも、ゲームだからこその強みです。

ルート数の多さはチャプタークリア後に表示されるフローチャートを見れば歴然。これを見ることでより一層「このルートもやってみたい!」という気持ちになるのでフローチャートを表示させたのは実に上手い演出だと思います。

他プレイヤーがどの選択を選んだかが%で表示されるので世間的にはこれが普通なんだなあとか分かりやすいのも魅力です。

じっくり考えれば冷静な判断ができるという人でも、このゲームは基本的に制限時間があるので咄嗟の判断力というものが求められます。皆さんがどのような選択を取るのかが求められる、トロッコ問題をもっと規模を大きくした感じのゲームです。

人やアンドロイドの生死に関わるような大きな分岐もありますが、どのような展開になってもそのまま続きます。分岐物ってプレイヤーの性格が出るので個人的に凄く好きです。それ故、実況動画も人によって異なるストーリーを進んでいくので色々なプレイヤーの動画を見たくなってしまいます。

ある程度年月が経ってからもう一度プレイすると、当時の自分とはまた気持ちが変わって別のストーリーになることもあるのでゲームを何年もリピートしてプレイしがちな私みたいな人だとそれもまた良い。

世界観が魅力的

今作はアンドロイドが人間に非常に近い状態まで発達し、それ故に生まれる人間とアンドロイドの対立、人間に近づきすぎた故のアンドロイドの葛藤と言った物を描いた世界観となっています。

テーマとしては決して目新しいという物ではありませんが、美麗なグラフィックも相まって世界観、感情描写の作り込みは凄まじいものがあります。最早ほぼ実写レベル。

発売時の2018年から20年後である2038年が舞台ということで、「現実世界よりはファンタジー、一般的なゲームの世界観よりはリアル」という絶妙な世界観が癖になります。

今現在は2025年な訳ですから、あと10年ちょっとでアンドロイド技術があそこまで進化するのか…?という疑問はありますが、当時はChatGPTとかも無かったですし今後の技術次第ではなくもないのか?と思ったり。

本作は3人のアンドロイドを主人公として操作していきます。コナー、カーラ、マーカスの3人です。

視点がよく切り替わることで長時間プレイになりやすいにも関わらず、気持ちが一新されて飽きずにプレイできるというプレイする側の利点もあります。

この3人主人公描写にすることで優れている点として、「誰か一人に大きく感情移入させない」ことが挙げられます。

主人公が1人だとどうしてもその1人に感情移入してしまい、その主人公を敵対するキャラに自然とヘイトが集まりますが、3人体制にすることでより一層プレイヤーは人間とアンドロイドの関係性について考えさせられます。

3人全員に感情移入してしまうというプレイヤーも多いでしょうが(というか大体そうですよね)、そういうプレイヤーほど終盤は選択肢に悩まされること必至。

人間の警察とバディを組んで行動するコナー、虐待されている少女を守るために行動するカーラ、アンドロイドの権利のために行動を起こすマーカスの3人の視点からストーリーが進んでいきます。

世間一般的にはコナーが人気の印象です。操作時間が長いですし、真面目っぽく見えてちょっとキュートな感じなのが母性本能的なものがくすぐられて良いですよね。「開けろ!デトロイト市警だ!」

あとカーラもマーカスも結構展開がシリアス続きなのでコナー編は比較的楽な気持ちでプレイできるという点や、ハンクとの相性の良さとかもあってコナーは人気なんでしょうね。

私はマーカスが好きですね。カールに対しては素の姿を見せている感じがしてそれがたまらなくイイ。色々悩みつつも進む様がかっこいい。彼はイケメンというより男前って感じ。

キャラクターの魅力

主人公勢以外のキャラクターも印象に残るキャラクターが多数存在します。

主人公以外のキャラクターで1番人気なのは多分ですがハンクではないでしょうか?みんなにツンデレおじさんって言われています(笑)

ルーサーも人気ありそう。カーラ編の数少ない頼もしい仲間。小人を守る心優しき巨人って感じのキャラです。

ただ本作は所謂クソ人間が結構多いです。アンドロイドが発達し過ぎて失業率が増えているという世界設定なのでアンドロイドに嫌悪感を持っている人間が多いです。

そこにイライラする人もいるとは思いますが、裏を返せば人間や世界のリアルさを上手に表せていると思うので個人的にはむしろ評価したいです。

特にトッドはアリスに対してただ虐待するだけでなく、要所要所でアリスを持ち上げる発言をする感じが「うわあ毒親だあ…」とちょっと吐き気がしましたね。

レオもクソ人間にしか見えないですけど、彼は父親の愛を充分に受けられなくてマーカスに嫉妬していたのかなあと思うとまた印象が少し変わったり。まあ私はマーカス推しなのでそれでもレオは許すまじ、と思ってしまいますけどね。

他にもズラトコとか問題のあるキャラは色々多いですがそういったキャラクターがいるからこそ、人柄が魅力的なキャラの良さが目立つし、ストーリーの盛り上がりもあります。

その他色々

密かにこのゲームの好きな点としては、ゲーム画面立ち上げるときにクロエが色々話しかけてくるところです。プレイヤーに質問してきたり、また会えましたねとか言ってきたりといつの間にか友達になった気持ちになりますね。

このゲームのネックとして頻繁に挙げられるのはスキップ機能をはじめとした周回プレイ時に欲しい機能がないことです。

そのため周回プレイ向きなゲームと言いつつも、実際はそこまで周回しないという人も多いです、これは勿体ないですね。

あと確かに分岐が凄まじいゲームではあるのですが、序盤の選択肢はそこまで全体への影響がないものが多いのでそこが面倒くささに繋がっているという点は否定できません。もっとガラッと変化すればそこまで面倒に感じなかったかも。

ぶっちゃけ3周くらいすればそこそこ色んな展開が見ることができて充分満足いくので周回プレイする場合は2~3周がオススメです。上述した実況プレイ動画を視聴するのも、自分と異なる選択肢を見たい場合にオススメできます。

QTEに関しては難易度がちゃんと選択できるのが親切で良かったです。ゲームが苦手な人もいるでしょうし、「見たいストーリーがQTE失敗のせいで見られなかった」ということになったらずっと後悔することになると思うので。

(以下ストーリー終盤の匂わせ、というかほぼネタバレ含むので気になる人はスルーしてください)

本作における1番のどんでん返し要素として挙げられるのはアリスの正体だと思います。ただ私としては「正直要らない設定だったなあ…」と感じてしまいました。

父親に虐待されてきた少女がカーラというアンドロイドと出会うことにより、出会った当初はぎこちなかったのに少しずつ心を開いていくという流れが秀逸だったのに「結局アリスもそうなのかい」とずっこけ気味になりましたよ。

まあだからといって突き放す訳にはいかないんで抱きしめる一択なんですけどね…

このゲームって「人間とアンドロイドの友情」が大きなテーマだと思っているんですよ。コナーとハンクは言うまでも無いし、マーカスとカールもお互いのことを大切に想っています。それを踏まえるとカーラとアリスだけ終始人間からの逃避劇っぽくてちょっと浮いているなあと思います。

(匂わせここまで)

とはいえやっぱり良いゲームですね。ストーリーを進めていく上で分岐が複雑に別れておりゲームでないと実現できないシナリオを、映画のような緻密なグラフィックと描込みで味わえるのだからヒットしたのも納得でしょう。

まとめ

デトロイトビカムヒューマンというゲームについて簡潔に、且つ魅力が伝わるようにまとめました。

アンドロイドが発達したらどのようになるかを題材にした、とても考えさせられるストーリーはどのような展開になろうがプレイヤーの心を揺さぶられること必至です。

制作期間4年という長さに恥じない、非常にクオリティーの高い作品に仕上がっています。既に他の人がプレイしているのを見たよ!という人も、自分で別のルートを進める楽しさがあります。この機会にプレイしてみてはいかがでしょうか?

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