白夜行という2周目から凄く面白く感じた小説

白夜行という2周目から凄く面白く感じた小説

久しぶりに読書に焦点を当てた記事を投稿しようと思います。

白夜行と言えば、東野圭吾作品の中でもベスト5には入るレベルで人気&有名な作品。私は東野圭吾さんの小説が大好きなので、気にならざるを得ませんでしたね。

感想を正直言うと、1周目は「長いしその割にはよく分からない、微妙」でした。でもみんなの感想を見て色々情報を得てから改めて読み直すと「すげえ小説!」とガラッと変わりました。

何せ800ページ超えの大ボリュームなので1周目の私みたいに気軽に読もうとする人には向いていないけれど、じっくり世界観に入り込みたい人には最高な小説だと思います。

この小説の魅力及び、この大作を最大限楽しむためにあらかじめ心掛けておいてほしいことを述べていこうと思います。

大ボリューム故の登場人物の多さがネック

この本を読む際は覚悟して読む必要があります。そう簡単に読み終えるボリュームでない上に登場人物が凄まじく多く、年月も長いので久しぶりに読むと訳が分からなくなってしまいます。

少しずつでも良いので、なるべく時間を空けずに読むことが推奨されます。

登場人物が分からなくなったらネットで調べれば良いのですが、やはりネタバレは怖い物。登場人物の中でも登場頻度が高い・物語に関わる要素が多い人をまとめましたので、混乱するのを避けたい場合は以下の人物に着目しながら読みましょう。

・亮司→本作の主人公その1。被害者の息子。

・雪穂→本作の主人公その2。容疑者の娘。

・笹垣潤三→事件の捜査を担当していた刑事。洋介殺害事件の真相と、亮司&雪穂の関係を追い続けている。

・桐原洋介→事件の被害者。質屋「きりはら」の主人。

・桐原弥生子→洋介の妻、亮司の母親。

・松浦勇→「きりはら」の店長。桐原家と深い関わりがある。

・西本文代→雪穂の実母。質屋「きらはら」の客で、事件の容疑者として疑われている。

・篠塚一成→篠塚製薬の御曹司。大学時代に雪穂の所属していたソシアルダンス部の部長。雪穂に警戒心を抱いている。

・高宮誠→電気部品製造会社の社員。ダンス部時代に雪穂と出会い恋に落ちる。

・川島江利子→中学時代からの雪穂の親友。雪穂に憧れている。

・園村友彦→亮司の高校時代からの同級生。亮司と協力関係になる。

・栗原典子→薬剤師。秋吉雄一を名乗る人物と恋に落ちる。

まだまだいるけれど、とりあえずこの辺りの登場人物を抑えておけば比較的スムーズに読めるかなと。

鈍感すぎる人は注意が必要

この小説は普段ミステリー作品を楽しむ際に、察しが悪くて大事なことに気付かない人はこの小説を充分に楽しめない可能性があります。

小説内で描かれていないだけで本当は亮司と雪穂が裏で繋がっているのですがその点を自分で推理しないといけないため、そこに気付けないとこの小説の面白さが半減以下となってしまい、ただただ長ったらしい話を永遠と読んでいるだけになってしまいます。

かくいう私がそうですね。私は基本的に曖昧な描写でぼかさないでしっかりと描いてほしい人なので「結局この話は何を伝えたいんだろう」とずっと思いながら読んでしまい、1周目は正直つまらないと思ってしまいました。

その後ネットでここはこの事件はこういう真相だよ、というのを調べたら「そういうことだったのか!何この小説凄い!」となって2周目はページをめくる手が止まらなくなりましたねw

なのでこの小説は色々と推理・想像しながら読むことができる人向けです。元々800ページ超えでボリュームたっぷりですが、小説で描かれていない部分を想像しながら読むと更に更に楽しめます。

19年という長い年月を描いた作品なので読んでいくうちにこの世界観への思い入れも強くなっていくんですよね。

洋介殺害事件の真相判明と物語の結末について

謎が謎を生むようなストーリー展開なのに対し、1番最初の洋介殺害事件の真相が分かるのは最終盤までお預けとなります。これも本作品の癖が強い要素の一つでしょう。

途中から洋介殺害事件のことを忘れたかのようにストーリーが進んでいくので事件の真相が気になってしまう私は結局いつ分かるの?とむず痒い気持ちになりました。

東野圭吾作品全般に言えることではありますが、あまりミステリーとして読まない方が良いと思います。事件を通して緻密な人間描写を描く作品、という印象。

あと東野圭吾作品ってあまりスッキリしない結末の作品が多くて、そこが若干苦手だったりします。本作もしかり。この独特の余韻が好きという人が多いのでしょうけれど。

この手のスッキリしない結末も、短編小説とかならまだ良いんですけどね。ずっと長々と読んだ結果がこれかい、って感じ。

亮司と雪穂について(ネタバレあり)

亮司は雪穂ほど悪人ではなく感じる、という意見が結構多いですね。そう思ってしまうのは、雪穂から漂う悪女らしさが凄いからだと思います。

雪穂の悪女っぷりはフィクションらしいとも感じるし、リアルっぽい感じもする絶妙さがあります。

雪穂って美人、成績優秀、その他才能もあって性格も(表面上は)良い、まさに完璧なお嬢様。だから嫌う理由がないんですよ。篠塚一成は雪穂の裏を感じ取った数少ない人物ですが、でも以上のような完璧超人だから”何となく”しか感じ取れず確証が持てない。

雪穂に幼少期に関しては確かに被害者。でも自分がその被害に遭ったことからそれを利用するのは紛れもない悪人。

ミステリー小説ってこういう不幸な過去からの復讐を遂げるとダークヒーローっぽくなってかっこいいなと感じるけれど、都子も江利子も美佳も過去の事件と全く関係ないからね。だから復讐感も薄い。

亮司もどうなんでしょうね。いくら雪穂が大切だからといって、自分の父親を殺害しようと思うものなのかな。ある意味この頃から既に雪穂の魔力に吸い付かれてしまったのかもしれない。

そういう意味では亮司は雪穂のせいで犯罪者として生きていかざるを得なくなった、最大の被害者とも言えるかもしれない。そうは言っても無関係な人を多数巻き込んでいるからな…

よく「亮司と雪穂は愛し合っているのかどうか」というお話になりますが、私としては恋愛感情はないと思ってしまいますね。

少なくとも雪穂は亮司のことを都合の良い人くらいにしか思ってなさそう。そうじゃないとラストでああいう反応にはならないって。

…と今までずっと思っていたのですが亮司と繋がっていることを2人だけの秘密にしたくて、敢えてああいう態度を取ったのかもしれませんね。そう捉えた場合恋愛とまでは言わなくても、友情以上の深い絆はありますね。

そうは言っても雪穂は今後亮司抜きでどう生活するんだろうという疑問はありますけどね。やっぱり亮司が必要、会いたいとなって自殺しそうな気もするし、普通にのうのうと生きていきそうな気もする。続きが滅茶苦茶気になってしまう。

亮司→雪穂は難しいところではありますが、ここも無いかなと。恋愛感情はあったとしても最初だけで、途中からは逆らえなくなった or 後に戻れなくなった感が強い。この人も人間不信っぽい気がするし、恋愛するタイプに見えない。

ドラマも凄いよ!

非常に有名な作品なのでこのブログでわざわざ紹介する必要もない気がしますが、2006年にドラマ化されています。

ドラマは小説とは逆で、亮司と雪穂の交流や心情をこれでもかというほどに描いていて、完全にこの2人の物語という感じです。

そのため小説派とドラマ派で分かれそうな気がしますが、どちらも人気・高評価なのが凄い。白夜行という作品そのものの出来が優れている証拠だと思います。

小説版では亮司と雪穂が怖くて仕方なかったのですが、ドラマ版だとこの2人をつい応援したくなってしまったので描写が違うとこんなに印象が違うものなのかとビックリしましたね。

ドラマ版では逆に笹垣刑事が怖い…w

結論:この作品の好き嫌いについて

白夜行が好きか嫌いかという話になると、「小説の特徴をしっかり掴んで読むと凄く面白い。でも大好きかというと微妙」という感想になるかな。だからタイトルにもあるとおり「2周目から凄く面白く感じた小説」な訳です。

名作なのは間違いないです。長い年月を描いたスケールの大きさに緻密な人間描写。これを名作と呼ばないのは失礼だと思ってしまいます。

ただ私はミステリー・事件物が好きということもあり、真相を先に先に延ばす構成・やや冗長な描写等に飽きてしまった部分もあるのは否定できません。容疑者Xの献身やマスカレードホテルの方が好きかな。

本作はちょっと亮司と雪穂の行動が上手いこと行きすぎている感があって、リアリティがなかったというのもあるかも。フィクションである以上ある程度強引な展開でも良いとは思うけれど、2人の行動・犯行の詳細はもっとしっかり描くべきだったのでは。

とはいえ私含め東野圭吾作品が好きならば絶対に読んで損はない一作。小説は世界観にグッと入り込める楽しさがあるのでやめられません。そしてドラマも素晴らしい。U-NEXTやHuluで視聴できるので是非。

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